2017年3月19日、李登輝総統のご自宅を訪問した鈴木馨祐・青年局長の一行ら(自民党青年局HPより)

長らく我が国の政権を担ってきた自由民主党は、国交を持たない台湾との窓口として青年局を活用してきた。報道によると、海部俊樹・元首相が青年局長の時代、当時まだ総統就任前だったものの、蒋介石の後継者として目されていた蒋経国との間で取り決めたのだという。

また、青年局長は、自民党内でも若手のホープが就く役職とされ、実際に安倍晋三首相や麻生太郎副首相、将来を嘱望される小泉進次郎氏も経験者だ。

現在の青年局長で、今年3月にも訪台して李登輝総統や蔡英文総統らと会見した鈴木馨祐・衆議院議員(神奈川7区)が、産経新聞の「単刀直言」に登場し、「台湾は戦略的に重要」「(自民党青年局が)日台とのパイプ役担う」などと話している。鈴木局長は昭和52年生まれの40歳、今後の日台関係に大きく貢献して下さること期待したい。


【単刀直言】鈴木馨祐・自民党青年局長 「台湾は戦略的に重要」「日台とのパイプ役担う」

【産経新聞:2017年9月18日】

自民党青年局長として力を入れている仕事の一つが「日台関係」の強化です。日本は台湾とは国交がないので政府や党幹事長、党国際局長は台湾と正式なパイプを作れません。そのため、昔の知恵だと思うのですが、党青年局長が長年、党の代表として台湾とのパイプ役を担ってきた経緯がある。北朝鮮情勢が緊迫する今、台湾と関係を強化することは重要になっています。

そもそも日本は四方を海で囲まれた島国なので、これまでは他国からの攻撃や厳しい競争にさらされにくく、地理的に有利でした。だが、今後は『歴史上初めて島国でいられなくなった10年間』といえるぐらい、日本の外交・安全保障が大きな転換点を迎えると思います。

北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射で分かるように、今は他国からミサイルが発射されれば、数分程度で日本の付近に着弾してしまい、海に囲まれていることが安全保障上、優位ではなくなった。核開発についても、北朝鮮が核実験を何度も強行して核戦力体制の確立を目指したり、中国が北米全域を攻撃できる移動式の長距離弾道ミサイル「東風41」(DF41)の開発を進めたりしており、米国が圧倒していた時代は終わりつつある。

今、米中の覇権争いの主戦場は潜水艦になっています。中国が南シナ海の海南島に潜水艦基地を建設し軍事拠点化しているのは、台湾とフィリピンの間のバシー海峡や宮古海峡を経て太平洋にアクセスし、潜水艦発射弾道ミサイルで米国を威嚇する狙いがあるといわれています。

太平洋に中国の潜水艦がひとたび出てしまえば捕捉は難しい。中国の動きを監視するには、中国の海洋進出にとって“出口”といえる台湾の重要性は日米にとって格段に高まっています。中国を封じ込めるためには日米と台湾、フィリピンなど周辺海域の国々との連携強化が不可欠なのです。

ただ、台湾は地政学的に日本が思っている以上に中国に弱い。中国は台湾を国際社会と断絶させようと強いプレッシャーをかけ、世界保健機関(WHO)や国際民間航空機関(ICAO)に参加できないようにしている。トランプ米大統領がこの地域に軍事的にコミットメントしてくれるのかという不安も抱えている。軍事力を背景に強大化する中国と、先行きが不透明なトランプ氏の外交に対して台湾は強い危機感を持っています。

昨年5月に蔡英文総統が誕生して以降、台湾を計5回訪れました。今年3月に蔡氏と会った際、私から「安倍晋三政権は日本の歴代政権の中で最も台湾に距離が近い政権だ」と伝えると、蔡氏は「安倍首相にはさまざまな面で感謝している」と評価していました。私たちの訪問直後、蔡氏は自らのツイッターで、自民党青年局長の訪台を日本語で紹介し、中国からの圧力を承知の上で日本重視の姿勢をアピールしました。

こうした台湾の不安をしっかり米国に伝えるとともに、東南アジア諸国連合(ASEAN)と連携し、海洋進出を強める中国に対抗するために、日本が果たすべき役割は非常に大きいと思います。

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の漁業協定や農産物輸入問題など、日台の経済分野では見解の相違もありますが、台湾が外交安保分野で戦略的に重要なパートナーであることは揺るがないと考えています。党青年局長としてそうしたことを強く意識し、今後も台湾との友好関係を深めることでアジア太平洋地域の平和と安定に貢献したい。(小川真由美)