烏山頭ダムで発生した八田與一の銅像損壊事件につき、台湾の大手紙・自由時報に続報が掲載されたので下記にご紹介したい。

八田銅像の頭部切断事件 警察は容疑者とみられる男女を追跡

2017年4月17日掲載(電子版)

封鎖された八田銅像と墓所(自由時報の報道より)

烏山頭ダムで発生した八田與一の銅像頭部切断事件につき、台南市警察は一組の男女が事件に関わっているものとして追跡を始めた。

今日も烏山頭ダムの現場には多くの観光客が訪れたが、異口同音に「台湾に貢献した人の銅像にこんなことをするのは非常に悪質で許しがたい」と話している。

事件は16日早朝に発生。嘉南農田水利会の関係者が午前4時すぎから烏山頭ダムで運動をしていたが、午前5時近くに八田銅像の前を通りかかると一組の男女がノコギリで銅像の頭部を「いじくっている」のを目撃。関係者は奇妙に思いながらもそのまま運動を続けた。

その約一時間後の午前6時すぎ、烏山頭風景区の夜勤職員から水利会に「八田銅像の頭は取り外し式なんですか?誰かが持っていきましたけど」と確認の電話が入った。

驚き慌てた関係者は「固定式に決まってるだろ!」と、その電話から3分も経たずに銅像へ駆けつけたものの、件の男女はすでに一時間近く前に現場を離れたところであった。ノコギリを持つ男女を目撃した関係者が即座に通報していれば、容疑者とみられる男女を取り押さえられた可能性が高く惜しまれるところだ。

男女が目撃された時間は午前5時前後で、まだ空は暗く、記憶にあるのは女性の髪が長かったこと、男性は痩せ型で背が高かったことくらいだという。

烏山頭ダムは、八田銅像から50メートルほど離れたゲート入口に監視カメラがあるのみで、風景区内に他の監視カメラは設置されておらず、警察の追跡調査も難航を極めている。水利会は夜間の出入りをゲート脇の通用門のみに制限しており、警察はすでに風景区内ホテルやキャンプに訪れていた宿泊客と、深夜に風景区内に入った人物について調査を進めている。

毎年5月8日に烏山頭ダムで行われている八田與一の慰霊祭が目前に迫っており、頼清徳・台南市長および奇美博物館は積極的に水利会の八田銅像修復に協力している。烏山頭風景区の洪俊文主任も、八田銅像にさらなる被害が及ばないよう、現在は24時間体制で八田銅像および墓所の警備をしており、監視カメラの設置も準備中だという。

現在、八田銅像付近は封鎖されており、水利会では訪れた観光客に対し八田與一の尊厳を守るために撮影しないよう呼びかけており、観光客も協力する姿勢をみせている。

【台湾紙・自由時報の報道を本会台北事務所で翻訳したものです】