頭部が切断された八田與一の銅像(台湾の報道より)

本日早朝、烏山頭ダムのほとりにたたずむ八田與一の銅像の首が切断され、持ち去られているのが発見された。16日夜になっても頭部は未だ行方不明であり、ダムを管理する嘉南水利会は「あまりにも悪劣」と憤りを隠せない。

警察によると、本日午前6時すぎに嘉南水利会の関係者が銅像の前を通りかかった際に頭部が切断されているのを発見。すぐに楊明風・水利会理事長に急報するとともに警察に通報した。警察は鑑識を現場に派遣し証拠収集するとともに付近の監視カメラの映像を調査しているという。

警察側もこの事件を深刻なものと捉えており、初動捜査の段階ではノコギリによって切断されたものではないかと判断している。

事件を受け、頼清徳・台南市長は5月8日に予定されている毎年恒例の八田與一慰霊祭までに銅像を修復するよう指示するとともに、慰霊祭は予定通り実施するとした。

また、事件を聞いた奇美実業グループの創業者、許文龍氏の指示により奇美博物館も銅像修復への協力を申し出た。午後には、博物館顧問と彫刻家を現場に派遣し、銅像の切断状況を検証した。

そのうえで、持参した許文龍氏制作の八田與一の半身像と切断された銅像に接合出来るかを確認。その結果、接合は可能とされ、作業は一週間以内に完了する見込みだという。

ちなみに、奇美博物館が接合を申し出た半身像は烏山頭ダムの銅像をモチーフにしたもので、合計3体が制作されており、日本・嘉南農田水利会(烏山頭ダムの八田與一記念室)・奇美博物館にそれぞれ置かれているものだという。

前出の楊明風・水利会理事長はメディアに対し「(八田技師の)台湾への貢献は偉大だ。銅像にこんなことをされても、台湾の八田技師への評価が変わることはない」と話している。

【台湾国内の報道を本会台北事務所でまとめたものです】