20080819台湾メディアは19日夜、難航していた次期駐日代表に、馬総統の側近で前ドミニカ大使の馮寄台氏(62歳)が起用されることが決まったと一斉に報じた。台湾外交部(外務省に相当)から発表があった。

馮氏は外省系で、米ハーバード大学公共行政修士を取得後、1973年から外交部に勤務。専門はイスパニア語だが、英語も堪能。米国大使館や儀典長を経て2003年4月から駐ドミニカ大使を務めた。

また、今春の総統選挙においては、国民党・馬陣営の国際部主任(外交顧問)を務め、昨年11月の馬氏訪日や、今月の馬総統の中南米歴訪(8月12日~19日)にも同行するなど、側近中の側近といわれる。
著書に『一次搞丟兩個總統』(九歌出版)、『他比總統先到』(聯經出版)がある。

また、外交官として対日関係に従事したことはないものの、父親の馮冠武氏も外交官だった関係で、小中学生の5年間を日本で暮らした経験があり、日常会話程度の日本語ならこなせるという。ただ、日本とのパイプはほとんどないのが実状のようだ。

日本滞在30数年、幅広い人脈を持っていた許世楷・前駐日代表の後任探しは難航を極め、7月10日の許代表離日から1ヶ月以上空席のままだった。中国時報をはじめとする台湾メディアは先月、総統諮問機関の国家安全会議メンバーで台湾大学政治系教授の楊永明氏に内定したと伝えた。しかし結局、本人の承諾を得られなかったという情報もあり、台湾メディアは、馬総統の意向と、国民党内部の思惑に乖離があると分析している。

外交部は、馮氏の起用には日本側も同意しており、人事の手続きを終えた後、正式に発布するとしている。

なお、馮寄台氏の駐日代表起用に対し、民進党幹部の邱議瑩・副書記長は、「馮寄台氏は日本での生活経験があり、外交官としての能力が高いとはいえ、日台外交については素人。選任ミスだ。馬総統の100%の信任を得た駐日代表ということならば適任だろうが、日台関係を強化するという意味での駐日代表には不適任だ」と批判している。

また、歐鴻錬・外交部長(外相)は、「馮氏は日本での生活経験があり、日本語も堪能と聞いている。速やかに日本での人脈を築き上げられるだろう」と述べている。