李登輝元総統の、退任後の訪日は昨年の東京・奥の細道探索に続く4回目だが、今回は初の沖縄訪問となる。
沖縄と聞くと意外な感じもするが、李氏はすでに総統退任から2年後の2002年(平成14年)に沖縄訪問への熱意を沖縄タイムスの単独インタビューで語っている。その一部をご紹介したい。

「早い時期に沖縄を訪問し、台湾と沖縄の協力関係を考えたい」

台湾の李登輝前総統(79/当時)は、台北市内で本紙(沖縄タイムス)の企画「沖縄の海図」(担当・多和田真助編集委員)の単独インタビューに応じた。李氏は一貫して沖縄問題に強い関心を示し、「沖縄は日本に帰属してよかったと思う。財政依存に頼るだけでなく、沖縄全体がもっと自主性(主体的・自立的)を発揮すべきだ」とのスタンスを促すとともに、在沖米軍基地は「日本にとっての生命線であり、アジアの安定にとって非常に重要」との認識を示した。

李氏は台湾、中国、沖縄について熱っぽく語り掛け、「早い時期に沖縄を訪問し、台湾と沖縄の協力関係を考えたい」との希望を語った。

その具体例として、与那国島と台湾の間の海流を利用した発電所構想を李氏のシンクタンク「台湾総合研究院」で研究中だと話した。

また、6月に勃発した日台間の尖閣諸島問題は記憶に新しいところだが、李登輝元総統が以前から「尖閣諸島は日本の領土」と明言しているのはよく知られている。尖閣問題についても、このインタビューで明快に答えている。

また、尖閣諸島の領土問題について「中国が領土だと主張するのは、石油埋蔵の問題があったからだ。だが、同諸島には軍隊が駐留しているわけでもない。尖閣は明らかに日本の領土」と断言。「香港の人に扇動された台湾漁民が騒いでいたにすぎない」と強調した。

その上で重要な問題は戦前、日本政府と台湾漁民との間で交わされた同諸島の漁業権だ―として「日本側は漁民の要求に真剣に向き合ってほしい」と期待した。

与那国島上空に設定されている台湾の防空識別圏については「総統就任時、軍に十分注意するよう言った」と述べるにとどまった。

総統時に提唱した沖縄への十億ドル投資計画については、法人税率が高すぎて計画は既に頓挫している―と明かした。

李氏は二〇〇〇年に総統を退任。現在、台湾総合研究院名誉会長を務めている。

(2002年9月14日付・沖縄タイムス)

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