20061021鉄道雑誌『鉄道ダイヤ情報』(2006年11月号)誌上で台湾高速鉄路(台湾新幹線)の特集が組まれています。その全てをコーディネートされたのが、台湾在住のジャーナリストで『台湾―日本統治時代の歴史遺産を歩く』や『観光コースでない台湾』などの著作を次々と発表している片倉佳史氏です。

事務局でも早速雑誌を入手して拝見しましたが、記事では、片倉氏が自ら撮影した台湾新幹線の車体や各駅の写真と説明が事細かに加えられ、鉄道ファンはもちろん、台湾ファンの方々にも充分に楽しめる内容となっています。また、台湾新幹線のみならず、台湾国内のローカル鉄道も併せて紹介されていますので、次回の台湾旅行の際は「台北からちょっと足を伸ばしてみようかな」とお思いの方にもオススメです。

ただ、心配なのは新聞などでも伝えられる開業の遅れです。10月末に開業の予定で進められてきましたが、工事の遅れなどから10月末の営業運転は断念し、11月中旬から板橋(台北郊外)-左営(高雄)の区間で、正式運行を始める方向で最終調整が進んでいるとのことです。

本会事務局にも、内部事情も含めていろいろ伝わってきています。片木裕一・本会理事が現況をまとめ、本会メールマガジン『日台共栄』390号で発表しておりますのでご覧下さい。

片木氏曰く、開業が遅れる台湾新幹線問題の原因について、日本と台湾の「文化摩擦」ととらえる向きもあるようですが、問題の原因を「植民地支配」の影響や文化を強調しすぎると、システムや技術あるいは経験値などが最優先されるべき新幹線導入の技術論や経営指針などの問題が置き去りにされてしまうようです。また、果たして台湾高速鉄路会社が日本の新幹線思想を理解した上で導入したのかということも問われています。