20061006現在発売中の月刊誌「歴史街道」11月号(PHP研究所/定価600円)の特集「台湾を愛した男たち-近代化に賭けた夢」は、日本の台湾統治史の真実を理解する上では非常に有用だ。

たとえば日本近代史上の人物伝に定評がある岡田幹彦氏(日本政策研究センター主任研究員)が書いた「児玉源太郎と後藤新平『私の任務は治むるにあり』台湾の近代化を導いた二人」は、台湾が瘴癘の島なり、土匪の島なりから、いかに近代的な「楽土」に変貌し得たのかという人類史上の奇跡について、近代化最大の功労者、児玉総督と後藤民政長官の人物評を通じながら、とてもわかりやすく説いている。

また江宮隆之氏の「新渡戸稲造と明石元二郎―『武士道』の男と日露戦争の陰の立役者が賭けた思い」や、古川勝三氏の「八田與一―世界の土木界を驚嘆させたダムが荒地を緑野に変えた」もまた同様で、どれもが秀逸である。また、これら論文に関連したコラムや資料もまた素晴らしく、20ページ弱の特集ながら、きわめて充実した内容となっている。

かつての日本人の台湾建設における気宇の壮大さに触れられるこの特集を、日本人のみならず、若い台湾人たちにも読んでほしい。