李登輝前総統が安倍新首相の政治理念を高評

産経新聞が毎週月曜日に掲載している「論説委員室から」というコーナーの一つに、論説副委員長の矢島誠司氏が担当するコラムに「風を読む」がある。元台北支局長をつとめた矢島氏ならではの台湾を通してみた日本観が示されていて毎回興味深い。

10月2日付の「風を読む」では安倍晋三内閣の発足について取り上げ、台湾の李登輝前総統が安倍首相の政治理念を高く評価していることを紹介し、「とりわけ、教育再生計画には強い共感を示しているという」と記した後に、「日本李登輝友の会のホームページで知ったのだが」と続け、本会ホームページで李登輝前総統が安倍氏の『美しい国へ』を高評していることを紹介している。

李登輝前総統が安倍氏の『美しい国へ』を推奨していることは、もともと9月9日付発行の本会メールマガジン『日台共栄』第362号のトップ記事として紹介したものだ。ここに矢島氏の「風を読む」をご紹介します。


「風を読む」矢島誠司・産経新聞論説副委員長

「日本は変わるよ。これでずっとよくなる」
台湾の前総統、李登輝氏は、2001年4月、小泉純一郎政権の発足について、私を含めた数人との懇談の中でこう語った。心臓病の治療のため日本を訪れ、台湾に戻った直後のことだ。

小泉政権は李氏が日本滞在中に誕生した。欧米のマスコミが「小泉とはだれか」と騒いでいたときに、日本政界をよく知る李氏は間髪を入れず、小泉政権の登場で日本は変わる、それもよい方向に変わると断言したのだった。

その李登輝氏が、今度は小泉路線を継承した安倍晋三内閣の発足を歓迎し、安倍新首相の政治理念を高く評価している。とりわけ、教育再生計画には強い共感を示しているという。

日本李登輝友の会のホームページで知ったのだが、李氏は9月初め、台湾を訪れた日本人一行への講義の中で、安倍氏の著書『美しい国へ』を取り上げ、教育改革の重要性を説いた後、「安倍さんの本を読んでください。特に第7章ね」と語ったという。

「教育の再生」と題された第7章はサッチャー、レーガンの教育改革を紹介しつつ、「自国に誇りを持てる」教育を重視し、学力の向上、モラルの育成、学校、教師の質の向上、古きよき家族の価値の回復などを説いたものだ。

安倍氏は教育再生担当の首相補佐官に、理念を同じくする山谷えり子参院議員を起用した。抵抗勢力を排して山谷補佐官が十分機能するには、安倍首相の強い指導力が不可欠だ。期待したい。

安倍内閣の教育再生計画の行方を李登輝氏も見守っているに違いない。台湾でも教育改革が重要テーマだからだ。その台湾では、9月新学期から高校でも初めて、台湾史を詳述した歴史教科書の使用が始まった。

10月2日付・産経新聞