林懐民氏率いる台湾を代表するコンテンポラリーダンスカンパニー「雲門舞集」(クラウド・ゲイト舞踊団)の日本公演が9月21日~24日、東京新宿文化センターで行われます。

同舞踊団は、創始者で芸術監督の林懐民氏の指導のもと、クラシックバレエ、モダンダンスなど西洋のテクニックに加え、瞑想、気功、武術、京劇など東洋の思想と文化を根本に据えた独自のスタイルを確立しており、その深い精神性と高い技術は世界の舞踊界でも高く評価されています。

今回の日本公演は2004年に続く2回目となるもので、前回披露された「行草」は中国の書の心と身体の動きに想を得た作品で、日本の観客から好評を博しました。今回は、それに続く「行草 貳(Ⅱ)」と「行草三部作」の最終章となる「狂草」 が披露されます。

「行草」は書道や水墨画において、文言の心を敬い、色彩によらず、墨の濃淡によって描く人の心を身体言語で創生した革新的な作品でしたが、「行草 貳(Ⅱ)」ではさらにそれらにおける秀麗な繊細さや深遠さが表現されています。

なお、作品を支える音楽には、易経や禅の思想の本質をつかみ、偶然性の音楽を発展させ、現代芸術に衝撃を与えた作曲家ジョン・ケージの最晩年の曲が多用されています。ケージが終生強い関心を示した東洋思想における心と身体とのありかたを林懐民氏がその音楽から探求し、リリカルダンスとしてまとめました。

一方「狂草」は、王義之(4世紀の中国の書家)以来の伝統の書を取得した人たちの書からさらに派生した草書で、究極の書体とも言われており、何物にも束縛されずみずからのエネルギーを放出させて見事な狂草を書いた名書家にならい、林懐民氏が広い空間に一気呵成にこの作品を創作しました。白い舞台空間にいくつもの滝が流れるように巨大な特質紙が配される独創的な舞台装置も、作品の大きな魅力となっています。

講演は9月21日~24日、詳細・チケットの購入方法などは日本文化財団HPからご覧下さい。