20050907海上広場にそびえ立つ、ペンでできた門――市民プロジェクト「平和行進曲Ⅱ」による『智恵の門』は、高さ5m・幅3mの、パリの凱旋門をイメージしたものであり、約30万本の使用済みのペン、筆記具が使用されている。9月2日から愛・地球博会期終了の9月25日まで海上広場に展示される。

智恵の門を制作したのは台湾出身のアーティスト・林世宝さん。中国古来の言葉で「筆勝於剣」という言葉がある。日本で言われる「ペンは剣よりも強し」と似た意味の言葉だが「ペン(文字)で表現される思想や文学の力は、剣(武力)よりも大きな力を発揮する」というメッセージが込められている。智恵の門に使われているペンは平和の象徴なのである。

このペンは世界中の人々から提供されたもので「この作品の主役はペンを提供して下さった皆さんやボランティアの方々。智恵の門を作ることで人の『輪』ができた。この輪をどんどんつなげていき、平和の輪になれば」と林さん。

門の脚部に使用されている黒いペンは広島に原爆が投下された後に降った黒い雨をイメージしたもの。林さんは原爆の投下について「人類最悪の日」と語った。そこから緑の大地を作ろうという願いを込め、土台の部分には緑のペンを使用した。

課題は万博終了後に移設・展示できる場所が決まっていないこと。林さんは「智恵の門にペンを提供してくれた人たちのドラマは始まっている。このドラマに終わりはないが、このまま移設・展示場所が決まらないと私は自らの手で皆さんのドラマを破壊することになってしまう。もちろんそれは本意ではない。智恵の門から始まった輪をつないで欲しい」と訴えた。

(2005年9月7日付 愛地球博デイリーニュース第167号より)