【議会1】平成18年(2006年)12月19日 石川県議会:台南県議会

「台南県議会と友好交流協定を締結 紆余曲折を経て日本初の議会協定を締結」石川県議会議員 宮元陸

■日台初の県議会同士の協定

昨年十二月十九日、金沢市内のホテル日航金沢において念願だった台湾の台南県議会と石川県議会による「友好交流協定」調印式が行われ、本県議会の長井賢誓(ながい けんせい)議長と台南県議会の呉健保議長が調印しました。

これまで日本では、大阪府議会日華議員連盟が謝長廷氏が市長をつとめていた時の高雄市議会と姉妹提携(平成十三年)を結んだ例はありますが、都道府県議会が台湾の県議会と協定を締結した例はありませんでしたので、本邦初の快挙でした。

教育、文化、スポーツ、産業の各分野で交流を図り、相互の繁栄を目指すことを謳った協定書の調印式には、顔純左・台南県副県長(副知事に相当)や民政局長なども同行する台南県議会の一行約四十名の訪問団と本議会関係者を合わせ約百名が出席しました。

まず長井議長が「調印の暁には両県議会が幅広い分野で手を結ぶことに意義がある」と挨拶し、次に呉議長が「石川県は伝統工芸や工業が発展した地域と聞いている。両県の友好がより一層進むよう永遠に頑張ります」と述べた後で調印式に臨みました。調印後、両議長がしっかり握手する姿を見て、これまでの難航した長い道のりを思い浮かべ、私自身も感慨一入でした。

実は、八田與一技師の生まれ故郷である石川県と、八田技師がつくった烏山頭ダムがある台南県の間には、金沢市議会や「八田技師夫妻を慕い台湾と友好の会」、あるいは金沢ライオンズクラブなどがこれまで交流を積み上げてきており、その中で台南県から再三にわたり姉妹都市交流の申し出が伝えられて来ていました。

そこで、県同士の姉妹都市交流を実現しようと県議会の有志と相図り、一昨年五月、それまで台南県との交流に尽力されてきた長井賢誓県議を中心として「石川県議会日台友好有志の会」を組織し、烏山頭ダムの畔で五月八日に斎行される八田技師の墓前祭に合わせて台南県を訪問しました。

この時、総統府国策顧問で李登輝之友会の黄崑虎総会長にもご同行いただいたことで、蘇煥智・台南県知事はじめ台南県政府関係者とも親しく懇談でき、台南県の並々ならぬ交流への熱意を感じ取ることができました。また、台南市内のホテルに李登輝前総統を表敬訪問し、その謦咳に接することができたことも大きな収穫でした。

■対中配慮優先の県当局

この勢いを駆って、県当局の覚醒を促すべく九月二十七日に「日台友好促進石川県議会議員連盟」を発足させ、会長には長井県議、事務局長には私が就任しました。

翌年一月十七日には長井県議を団長に「石川県議会アジア行政視察団」として台南県を訪問し、蘇煥智県長と懇談しましたが、ここにも黄崑虎総会長には同席していただきました。蘇県長はこの席で、民間協力によって双方の関係が密接であることを強調し、今後の交流促進に強い期待を示しました。

話は前後しますが、この前日に台北郊外で李前総統と懇談しました。このとき、長井団長が「台湾定期便の就航は私たちの願い。全面的な支援を」とお願いすると、李前総統は「定期便になるために頑張りましょう」と笑顔で快諾されました。これがどれほど私たちの励みとなったことか、自ずと頭が下がりました。

しかし、石川県と中国・江蘇省の間で友好交流関係を構築していることもあり、対中配慮を優先させる県当局の姿勢は相変わらずで、県同士の姉妹都市交流は行き詰まってしまいました。

そこで、議会間交流を先行し、将来の姉妹都市交流への布石を打つことに転換し、台南県議会の意向を確認すると、先方も乗り気でした。

こからがまたいささか苦労するのですが、それはさておき、十二月十二日、議会運営委員会において日台友好促進石川県議会議連から申し入れた台南県議会との友好交流協定締結の件が了承されたときは、まさに一仕事を終えたという安堵感でいっぱいでした。

話は戻りますが、調印式を終えた台南県議会の一行は翌十二月二十日、石川県庁で杉本勇寿(すぎもと たけとし)副知事と懇談し、交流活発化に取り組むことを確認しました。また一行が八田技師の母校である花園小学校を訪問すると、子供たちが八田技師を讃える歌を披露し、熱心に聞き入っていました。

台南県議会との友好交流協定を結んだことで、果たして県当局がどこまで取り組んでくれるかはよく分かりませんが、協定内容を実践するため、議会が主導して議連が補佐し、訪問団を派遣するなど交流を積極的にリードしていきたいと、改めて気を引き締めているところです。

本会機関誌『日台共栄』19年3月号より転載

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