李登輝元総統の台北高等学校の1年先輩で、日本で台湾独立運動を始めた台湾語研究者の王育徳氏は半生記を書き残して志半ばで亡くなるが、娘の近藤(王)明理さんは亡くなるまでの足跡を書き足し『昭和を生きた「台湾青年」』を2011年に出版。
王育徳氏は二二八事件で、台湾人初の検事だった実兄の王育霖氏が犠牲となり、その矛先が我が身にも及ぶことを知って日本に亡命した。身一つで始めた亡命者の生き方や台湾に生まれた悲哀とはどのようなものだったのか、娘の立場を離れた第三者の視点で伝記として書下ろしたのが本書である。
王明理さんは父が故国のために孤軍奮闘した軌跡について「祖国を離れたけれど祖国の幸せのために一生を捧げる、それが父の亡命者としての矜持であり、“一寸の虫にも五分の魂”の心意気を貫くことができて、父は幸せだったと思う」と振り返っている。
台湾を知るためには、李登輝元総統に通底する「勇気ある台湾人」王育徳氏の事績と心意気を知らなければならいと迫る、前著に優るとも劣らない台湾関係者必読の印象深い一書。推薦・頼清徳総統
【草思社 2026年6月刊 定価:3,520円(税込)】
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