京都新聞の報道より

9月10日、京都市と台湾の高雄市が都市間提携として「高雄協定」を締結しました。コロナ禍のため、京都市の門川大作(かどかわ・だいさく)市長と高雄市の陳其邁市長の調印式はリモート形式で行われたそうです。

地元紙の京都新聞は協定締結のきっかけについて「高雄市は台湾南部の港湾都市で元々は『打狗(ターカオ)』という地名だったが、日本統治時代の1920年に発音が似た『高雄』に改称したとされる。昨年、100年の節目になることから同市から京都市に協定の提案があった」と報じています。

高雄の地名は京都市右京区梅ヶ畑(うめがはた)高雄町に由来することから、京都市右京区は高雄市と2015年から相互訪問等による交流を進めてきており、2020年2月開催の高雄市主催による3万人規模の「高雄国際マラソン大会2020」では、高雄市側からの呼びかけで京都市右京区に在住または通勤・通学している10名を招待ランナーとして募集したとのことです(ただし、コロナのため中止)。

京都市も、2018年12月に重要文化財でもある世界遺産、二条城の二之丸御殿台所と御清所において、日本と台湾の現代作家19名による展覧会「日本と台湾の美術交流-現在展」を主催するなど、台湾との交流に力を入れてきたそうです。今年の6月30日には台南市(黄偉哲市長)と「交流推進協定」を締結したばかりです。

このとき、謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表と加藤英次・日本台湾交流協会高雄事務所長が立会いましたが、今回も謝長廷代表と加藤所長が立ち会いました。

ちなみに、今回は同じ「高雄」の地名から都市間提携に至ったわけですが、実は2006年11月1日に東京の八王子市と高雄市は「友好交流に関する協議書」に調印して都市間提携を結んでいますが、この提携も、日本統治時代「打狗(ターカオ)」と呼ばれていた高雄の発音が八王子市にある著名な「高尾山」(たかおさん)とよく似ていることがきっかけでした。

また、日台間では鉄道提携が盛んで1996年から2020年まで41件に及び、この中には駅名が同じということで、JR四国の松山駅と台湾鉄道の松山駅の「姉妹駅」締結(2013年10月13日)、山陽電鉄の亀山駅と宜蘭線の亀山駅の「姉妹駅」締結(2014年12月22日)、しなの鉄道の田中駅と台鉄縦貫線の田中駅の「姉妹駅」締結(2018年3月26日)の3件も含まれています。

本会の調査によれば、日台の都市間提携は、1979年10月の青森県大間町と雲林県虎尾鎮が「市町町」を締結して以来、今回の京都市と高雄市の「高雄協定」締結で102件となります。

心からお祝い申し上げ、下記に「京都新聞」と中央通信社の記事をご紹介します。

なお、京都新聞は門川市長の着物姿の写真を掲載していますが、門川市長は2008年の初当選からほぼ和服で通しているそうで、歴代の京都市長は市議会では原則として和服を着用するのが習慣となっているとのことです。

◆台湾と京都の共通点「高雄」、2市が友好協定 ワクチン無償提供に感謝【京都新聞:2021年9月10日】
 


高雄市、京都市と協定書締結 産業や観光などの分野で交流促進へ

【中央通信社:2021年9月10日】

南部・高雄市は10日、京都市と「高雄協定書」を締結した。産業や観光、文化、スポーツなどの分野で交流を促進し、台日の友好関係深化を図る。

陳其邁(ちんきまい)高雄市長と門川大作京都市長がリモート形式で協定書に調印した。台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表(大使に相当)や日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会の加藤英次高雄事務所長らが立ち会った。

陳市長はあいさつで、両市の縁は約100年前にさかのぼると言及。1920年の改称時、「高雄」の名称が京都市右京区の「高雄山」から取られたことに触れ、双方の歴史において深い絆が結ばれたと述べた。高雄市側の調印式は、日本統治時代の高雄市役所を前身とする高雄市立歴史博物館で開かれた。

門川市長は、協定書締結によって両市の相互理解や発展が増進されることに期待を寄せた。今後は伝統芸能や文化、芸術、旅行、産業、教育などの幅広い分野での交流を推進していく考えを示した。

日本台湾交流協会は今年を「日台の友情を深める年」と位置付けている。高雄市はこれに呼応し、「日台友情×高雄」と題した関連イベントを実施し、9月を「日台友情マンス」と定めた。その一環として、高雄市立歴史博物館では10日、1930年代の日本と台湾間の旅の風景を紹介する特別展が始まった。同展は11月7日まで開かれる。