久しぶりに日台の都市間提携に朗報が飛び込んできました。来る11月23日の宮中新嘗祭の佳日、宮城県栗原市(千葉健司・市長)と台湾の南投県南投市(宋懐琳・市長)が「姉妹都市」を締結することになったそうです。

11月23日は栗原市合併15年式典が行われ、この日に合わせ、オンラインで調印式を行うとのこと。下記に、それを伝える「河北新報」の記事を紹介します。

栗原市は、2008年6月14日に起こったマグニチュード7.2 の大地震「岩手・宮城内陸地震」の最大被災地。一方の南投市も、1999年9月21日に起こったマグニチュード7・6の「台湾大地震」「921大地震」「集集大地震」と称される被災地で、震源地の南投県政府の所在地です。

報道によれば、両市の交流は栗原市が2012年に南投市に呼び掛けて始まったそうで、栗原市は南投市に職員を派遣するなど防災を軸に南投市と友好関係を構築、2016年3月14日には「国際友好交流協定」を締結しています。

その後、自治体間交流やスポーツ交流などを通して友好関係を深め、2018年からは双方の特産品などを紹介する農業・製造・商業・観光の各分野の代表者を交えての産業交流が始まったそうです。

このような交流の積み重ねが今回の「姉妹都市」の提携に結びついたようで、心からお祝い申し上げます。

実は、昨年11月24日に盛岡市と花蓮市が「友好都市協定」を結んで以来、日台間の都市間提携は1件もなく、まったくさびしい限りでした。約1年にわたって提携がないのは東日本大震災が起こった2011年以来のことです。

ちなみに、東日本大震災以降の日台間の都市間提携の増加は目を見張るばかりで、本会の調査によれば、2012年:5件、2013年:7件、2014年:8件、2015件:8件、2016年:15件、1017年:19件と増えてゆきました。しかし、2018年からは減少傾向に転じ、2018年:9件、2019年:4件となっています。

また、日台間の都市間提携は、1979年10月に青森県大間町と雲林県虎尾鎮が「姉妹町」を提携したのを嚆矢として、2019年11月の盛岡市と花蓮市の「友好都市協定」まで94件を数えています(本会調査)。

2020年の今年は、栗原市と南投市が初めての都市間提携となります。武漢肺炎こと新型コロナウイルス感染症が蔓延する中、快挙です。よくぞ提携までたどり着いていただいたと、両市の関係者に深く感謝します。

◆栗原市

◆南投市


地震が縁 姉妹都市に 栗原市と台湾・南投市が23日調印式

【河北新報:2020年11月11日】

河北新報のニュースサイトより

岩手・宮城内陸地震の最大被災地の宮城県栗原市は、1999年の台湾大地震で被害を受けた南投市と姉妹都市提携を締結する。共に震災の教訓を生かしたまちづくりに取り組み育んだ交流を、さらに促進させるのが狙い。

23日の栗原市合併15年記念式典に合わせてオンラインで両市を結び、調印式を行う。栗原市が海外の都市と姉妹提携するのは初めて。

式典では、千葉健司市長と南投市の宗懐琳市長があらかじめ送付した提携書に署名する。両市は少年野球などのスポーツ、特産品販売などの産業交流をはじめ、幅広い分野での交流を計画する。

千葉市長は「登米市や一関市、(岩手県)平泉町と連携してインバウンド拡大にもつなげたい。新型コロナが落ち着いたら、すぐに対応できるよう準備を進める」と話す。

両市の交流は栗原市が2012年、南投市に呼び掛けて始まった。市長らの相互訪問や観光交流を経て、16年に国際友好交流協定を締結した。

19年は、10月に栗原市志波姫中の卓球部が南投国民中を訪れスポーツ交流。11月には宗市長ら南投市の訪問団が栗原市を訪れ、薬師まつりのパレードに参加して親交を深めた。

南投市は台湾の中央部に位置し、人口は約9万9000。台湾大地震で家屋の倒壊など大きな被害が出た。