李登輝総統は2004年12月末、総統退任後2度目の来日を果たし、京都大学時代の恩師である農業経済学者の柏祐賢氏を京都の自宅に訪問している。柏祐賢氏を父とし、その学問を継承する農業経済学者の著者は、李氏との邂逅を人生最高の出会いと感じ、李氏と父の絆を西田哲学から説く本書は、この出会いから生まれた。

李氏は旧制高等学校時代から西田幾多郎や鈴木大拙などの哲学書や宗教書を読破し、哲学的思索を重ねてきた。柏祐賢氏の農業経済学のバックボーンとなっていたのが西田哲学であり、2人の運命的な出会いは西田哲学がもたらしたと述べている。

「台湾の民主化の父」や「哲人政治家」と称される李氏は晩年、「我是不是我的我」(私は私でない私)という境地に到達している。これまで、その境地に至る過程を考察した本や論考などはほとんどない。李氏の境地を西田哲学から説き明かす労作が本書だ。

柏久(かしわ・ひさし)
1947年(昭和22年)、京都市生まれ。1971年、京都大学農学部農林経済学科卒業。1975年、京都大学大学院農学研究科博士課程中退。京都大学地球環境学堂助教授を経て酪農学園大学特任教授などを歴任。2017年、松柏庵研究所所長に就任。農学博士(1985年、京都大学)。専門は農学原論。主な著書に『農業経済学の展開過程』『環境形成と農業』『放牧酪農の展開を求めて』『「生きる」ための往生―李登輝台湾前総統恩師柏祐賢の遺言』『李登輝の偉業と西田哲学─台湾の父を思う』など。

 2020年1月吉日

                                    日本李登輝友の会

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【産経新聞出版 発行:2019年10月 定価:1,650円(税込) 四六判・上製・228頁】

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