日本庭園の趣にリニューアル された新竹公園の「麗池園林エリア」

新竹市は清代からの城下町で、新竹風と言われる季節風が強く「風の街」とも呼ばれていて、新竹ビーフン(米粉)が古くから有名な町だ。伝統工芸産業としてガラス工芸や凧、灯籠、木彫りも盛んである一方、1980年以降に整備されたサイエンスパークは「台湾のシリコンバレー」といわれIT産業の企業や工場が立ち並んでいる。国立清華大学や国立交通大学など大学が5校もある大学町の一面も持つ、落ち着いた雰囲気のある町だ。

市内の中心部にある新竹公園は日本統治時代の1916年(大正5年)に造られ、18ヘクタールの広い敷地内には「新竹市立動物園」がその20年後に造られている。現存する動物園としては最も古いという。

現在、この新竹公園には、日本から贈られた河津桜を接木で増やし、いまや1000本を超える河津桜が植えられていて、早咲きの河津桜が満開を迎える2月中旬に「さくら祭」も開かれるようになっている。この季節に本会は桜ツアーで何度も訪れていて、「新竹の桜守」と言われる楊根棟先生の案内で満開の桜を堪能している。

新竹公園内には日本家屋も多い。「姉妹館」と看板が掛かっている日本家屋もある。これは2003年(平成15年)4月、岡山市が日本の市レベルとして初めて新竹市と友好交流協定を締結したことに因んでいる。 

戦後、国民党所属の市長が長く続いていたが、2014年11月の統一地方選挙で民進党所属の林智堅氏が39歳の若さで当選している。国民党候補を破ったのは戦後初のことで、なんとその票差は1,014票だった。今年11月の統一地方選挙でも、世論調査では林智堅氏の当選確率は90%を超えている。

林氏が市長に就いてから、2015年2月には東京駅と新竹駅が姉妹駅を締結するなど、日本との交流も活発で、新竹公園も日本庭園の趣を感じさせるようにリニューアルされつつあるという。中央通信社がその様子を伝えているので下記に紹介したい。

一昨年からお隣の桃園市(鄭文燦市長)は、桃園空港を抱える利便性もあるため、加賀市、香川県、千葉県、成田市、宮崎県の5つの自治体が立て続けに都市間提携しているが、新竹市はまだ岡山市のみ。日本とのゆかりも深い新竹市は都市間提携の「穴場」かもしれない。

新竹公園と動物園には、河津桜と台湾原産の山桜(寒緋桜)がほぼ交互に植えられていて、満開のころはあでやかさと華やかさにあふれ、多くの市民が花見に訪れている。


新竹公園に新名所 日本の庭園の趣感じさせる

【中央通信社:2018年10月4日】

日本統治時代から続く北部・新竹市の新竹公園で、リニューアル整備された「麗池園林エリア」の供用が9月29日、始まった。麗池の畔には、市の歴史建築に昨年登録された日本式建築群が立ち並び、日本の趣を感じられる。 

同公園は1916年に建設。約18ヘクタールの面積を誇り、園内には、開園から同じ住所で存続する動物園としては台湾最古となる市立動物園やガラス工芸博物館など複数の施設がある。だが、各区域の管理者がそれぞれ異なっていたため有効活用が難しく、活性化にも困難が生じていた。市は公園の風華を取り戻そうと、リニューアル計画に乗り出し、昨年8月から工事に着手。計画には6億台湾元(約22億2700万円)を投じる。 

工事は順次進められており、すでに外周の歩道や円形広場、ライブハウスの供用が開始されているほか、麗池園林エリアと同時に、入口の大階段広場の一般開放も始まった。現在は、同公園の裏手にある十八尖山と市街地を結ぶ道として日本統治時代に建設された「百年大道」や動物園、子供向けエリアのリニューアル工事が進行中で、来年の完工を予定している。