慰霊祭に出席した頼清徳・行政院長(行政院FBより)

八田與一技師が歿して76年目を迎えた昨日(5月8日)、烏山頭ダムの畔に建立されている八田技師夫妻の墓前で76回目となる慰霊祭が嘉南農田水利会(楊明風会長)によって催された。

墓前祭には八田技師令孫の八田修一氏をはじめ、昨年8月まで台南市長をつとめていた頼清徳・行政院長や金沢市の丸口邦雄・副市長を団長とする台湾訪問団、「八田技師夫妻を慕い台湾と友好の会」会員など約300名が参列。

本会からも、第29回李登輝学校研修団の参加者や台南の中信金融管理学院で教鞭を執る梅原克彦・常務理事など23名が参列し、ねんごろに花を手向けた。

共同通信によれば「頼院長は八田の貢献をたたえ『行政院長として参加することで台日の友好をさらに強固にしたい』とあいさつ」するとともに、「2月の台湾東部地震の際に安倍晋三首相が台湾人を励ましたことや、日本が台湾の世界保健機関(WHO)総会参加を支持したことなどに感謝を表明した」という。

北國新聞が八田修一氏の挨拶や山野之義・金沢市長のメッセージを伝えているので下記にご紹介したい。


「八田技師の功績計り知れない」 台南で墓前祭、石川からも参列

【北國新聞:2018年5月9日】

日本統治時代の台湾で水利事業に尽くした八田與一(はったよいち)技師(金沢出身)の墓前祭が命日の8日、台湾・台南市の烏山頭(うさんとう)ダム湖畔で営まれた。参列した頼清徳(らいせいとく)行政院長(首相)は「台南市民にとって、技師の功績は計り知れない。行政院長として参加することで台日の友好をさらに強固にしたい」と述べ、日本と台湾の約300人とともに遺徳をしのんだ。

墓前祭は76回目で、石川県からは金沢市の丸口邦雄副市長を団長とする台湾訪問団、八田技師夫妻を慕い台湾と友好の会の会員らが参列した。

八田技師の銅像は昨年4月、像の頭部が切り取られる損壊事件が起き、複製品の胸像の頭部を銅像に溶接して修復された。事件を受け、参列者は昨年に引き続き入場証のバッジを着け、入り口で署名をしてから会場入りした。

事件当時、台南市長として像の早期修復を指示した頼行政院長は「大きな難関を乗り越えてこそ本当の絆がある」とし「私たちは日本、金沢の皆さんを仲間と思っており、これからも台湾との関係が深まることを願う」と力を込めた。

八田技師の孫である八田修一さん(名古屋市)も事件に触れ「銅像はわずか10日あまりで修復され、日台の絆はむしろ、さらに固く結ばれたのではないか。それをさらに強める努力をしていきたい」とあいさつし、次世代に交流をつないでいくことを誓った。

金沢市の丸口副市長は「技師の功績を教育の中で継承し、金沢から広めていきたい」との山野之義市長のメッセージを代読した。墓前祭を主催する嘉南農田水利会の楊明風会長らもあいさつし、墓前に手を合わせた。

金沢市の台湾訪問団は、墓前祭に参列後、八田技師が築いた烏山頭ダムを視察した。技師の写真などを展示する八田技師記念室や記念公園、ダム建設中に事故などで亡くなった従業員の慰霊碑などを訪ね、技師の功績に理解を深めた。