日台間で観光協定を締結するケースは、今年に入ってからも、大分県竹田市と高雄市田寮区による「観光文化友好交流都市協定覚書」締結(1月13日)や大分県中津市と台中市の「自転車旅行と観光交流の促進に関する協定」締結(2月9日)などの都市間提携に限らず、つい最近も、日台の高さ一番を誇る「あべのハルカス」と「台北101」が3月9日に友好協定を結んだように民間団体同士で結ぶケースも増えている。

3月10日、九州観光推進機構と台湾中部観光促進委員会が九州地区と台湾中部とのエコツーリズムや生態観光を促進しようと「観光友好交流協定」を締結した。台湾国際放送と台中市の「市政新聞」が伝えているので、下記に併せてご紹介したい。

「九州観光推進機構」とはあまり聞いたことのない団体名だが、同機構のホームページによると、今から12年前の2005年(平成17年)4月、九州地方知事会と九州経済連合会、九州商工会議所連合会九州経済同友会、九州経営者協会から成る九州地域戦略会議で策定された「九州観光戦略」の実行組織として設立されたという。

今回の「台湾中部観光促進委員会」との協定締結により、台中空港への直行チャーター便が就航する大分空港を拠点に観光誘客につなげたいという。

一方の「台湾中部観光促進委員会」(中台灣觀光推動委員會)は台湾中部の台中市、彰化県、苗栗県、南投県、雲林県、嘉義県、嘉義市の2市5県で構成し、本誌でもお伝えしたように、昨年3月29日に林佳龍・台中市長などが立ち会って、名古屋市で日本の「昇龍道」(中部・北陸地方の観光ルート)を推進している「中部広域観光推進協議会」(2005年10月設立)と観光友好交流覚書に調印している。

観光客の行動範囲の拡大に応じた広域観光の展開をめざしている日台で、このような提携は観光交流の基盤をつくる上で必要で、これがまた双方の修学旅行の増加や都市間提携に結びついていく。

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台湾中部、日本九州と観光交流協定

【台湾国際放送:2017年3月11日】

台湾中部の台中市、彰化県、南投県、雲林県、台湾中南部の嘉義県、嘉義市、台湾北西部の苗栗県などの7つの県と市が組織する「台湾中部観光促進委員会」が10日、日本の「九州観光推進機構」と「観光友好交流協定」を締結した。台湾中部と九州地区とのエコツーリズムや生態観光を促進するのが狙い。

「台湾中部観光促進委員会」の主任委員を兼務する、台中市観光旅遊局の陳盛山・局長と「九州観光推進機構」の高橋誠事業本部長が署名した。陳盛山・局長は、三つのルートを通じて「九州観光推進機構」と協力関係を進めていくと述べた。この三つのルートとは、両地域を結ぶ航空網をさらに完備すること、観光連盟などの協力メカニズムを確立すること、温泉、自転車、教育面での交流など、さらに深みのある、テーマ別の旅行を発展させること。陳・局長は、これらの観光振興策によって台湾中部の七つの県・市と、日本九州の七つの県・市の交流を強化し、双方の観光をさらに活性化させる狙いだと説明した。

台中市の林陵三・副市長は、「昨年台中を訪れた観光客は延べ600万人で、前年同期比4.6%増えた。そのうち海外の観光客はおよそ200万人あまりだった。そして昨年台中の宿泊施設を利用した日本人観光客は延べ30万人だった。「九州観光推進機構」との協定締結により、台中の宿泊施設の日本人利用客が延べ40万人に増えるよう」期待した。

高橋事業本部長によると、九州には豊富な温泉の資源があり、それを主軸にダイバーシティ(多様性)的観光戦略を発展させることができる。台中には国家歌劇院、高美湿地などの観光資源がある。昨年4月、九州の熊本で大地震が発生した際、台湾から暖かい手が差し伸べられた。それに加えて昨年台中と日本の大分県を結ぶ定期チャーター便が就航した。そのおかげで両地区を行き来する旅客が増えているという。高橋事業本部長は、友好交流協定の締結により、双方の友好関係をさらに深め、共に利益がもたらされるよう期待した。