20170119-01昨年末、元ユナイテッド航空フライトアテンダントだという天野瀬捺(あまの・せな)さんが著した『世界が憧れた日本人の生き方─日本を見初めた外国人36人の言葉 』(ディスカヴァー携書) において、李登輝総統をその一人に取り上げています。

本書は、16世紀以降に日本を訪れた世界各国の偉人たちがその感動を書き留めた本を読み漁るうちに、日本の素晴らしい原型が浮かび上がってくることに気づいた著者が「現代の日本がそこから少しばかり外れてしまっていることに思い当たりました。そして、私たちが原点回帰することの必要性を、身にしみて感じるように」なったことを執筆の動機としているといいます。

また「日本人は、先祖代々からの文化継承を得意とする民族です。元来持っていた良さが完全に失われたわけではなく、戻る気にさえなれば戻れる環境があります。いまほど、自国の伝統文化の素晴らしさに再度光をあてることがふさわしいときがあるでしょうか」とも述べ、歴史に名を残す36人に光を当て、端的に紹介している。

タウンゼント・ハリス(アメリカ)、ヘンリー・ヒュースケン(オランダ)、イザベラ・バード(イギリス)、シーボルト(ドイツ)、アーネスト・サトウ(イギリス)、モース(アメリカ)、ルース・ベネディクト(アメリカ)、ブルーノ・タウト(ドイツ)、ヴァリニャーノ(ナポリ共和国)、チェンバレン(イギリス)、アインシュタイン(ドイツ)など、教科書などで取り上げられている人物も少なくなく、日本でも知られる人々とともに李総統を取り上げています。

36人のうち存命者は、禅僧のネルケ無方(ドイツ)、修道女のジャンヌ・ボッセ(カナダ)、そして李総統の3人で、アジアから取り上げられたのは李総統だけです。

著者は、李総統が2007年に来日されたときの講演録などを収めた『李登輝訪日 日本国へのメッセージ』や『「武士道」解題』などに深い感銘を受けたようで、李総統の紹介を下記のように締めくくっています。

≪「日本人の持つ情緒と形式が生活の中に取り込まれて、高い精神的なものになったのが日本の文化であり、世界的に見ても独特の、非常に高い文化です」。この洞察は、私たち日本人こそが強く再認識しなければならないだろう。≫

どの人物も4ページ読み切りで、歴史に名を残す外国人が日本をどのように称賛していたかを端的に知ることができます。どこからでも読める手軽さもあります。ご一読をお勧めします。

◇    ◇    ◇

天野瀬捺(あまの・せな)
千葉県生まれ。トロント、セネカカレッジ卒。オーストラリア、スイス、カナダでの在住経験がある。元ユナイテッド航空フライトアテンダント。現在、沖縄に在住。2006年、自身の経験をもとに書き上げた「フライトアテンダント物語~小夜子のスッチー見聞録~」が日加タイムス文学賞に入選。同年5月から5ヶ月間、日加タイムス紙上で連載される(2013年に電子書籍化)。2014年には電子書籍『おばあちゃんのおひざもと』を発表。

・書 名:世界が憧れた日本人の生き方─日本を見初めた外国人36人の言葉
・著 者:天野瀬捺
・体 裁:新書判、並製、208ページ
・版 元:ディスカヴァー・トゥエンティワン ISBN:978-4-7993-2024-2
・定 価:1,080円(税込み)
・発 売:2016年12月26日