李登輝総統のドキュメンタリー「哲人李登輝・補鼎續火」のダイジェスト版を鑑賞する李総統ご夫妻(左は蘇嘉全・立法院長)

9月24日、李登輝総統が董事長をつとめる李登輝基金会は台北市内の華漾大飯店(中崙店)において募金晩餐会を開催。本会からも柚原正敬・事務局長らが出席した。

午後6時から受付開始だったが、台湾各地から参加者が詰めかけ、6時半には約70卓のテーブルは満席。李総統と曾文惠夫人が座るメインテーブルには、蘇嘉全・立法院長や民進党の柯建銘・立法委員、時代力量主席の黄國昌・立法委員、李応元・環境保護署署長(環境省大臣に相当)、黄天麟・台日文化経済協会会長など、約20人の台湾政財界要人が座った。

6時半に開会が宣せられるや、李元総統が台湾の民主化に邁進してきたこれまでの軌跡を12枚のDVDに収めた「哲人李登輝・補鼎續火」のダイジェスト版が大スクリーンに映し出された。このDVDは5年の歳月を費やし、当時を知る関係者や研究者約200人へのインタビューもふんだんに交えたもので、李登輝基金会がオフィシャルに製作している。李登輝基金会からは本会を窓口として日本でも販売できるよう要請が来ている。

続いて、李総統が登壇、台湾の主体性を確立するためには「脱古改新」という国家正常化が必要との持論を展開、中国についても「台湾の景気が良くとも悪くとも、中国に頼る必要はない」などと大音声で熱弁をふるわれた。15分弱の短いスピーチだったが、会場は寂として声なし、皆さん聴き入っていた。

ちなみに、李総統の唱導する「脱古改新」とは、古を脱して新しく改めるということで、その目的は「託古改制」の害毒であるアジア的価値を捨て去ることにあり、「ひとつの中国」や「中国式法統」による束縛から逃れ、台湾を主体性ある民主国家にすることにある。

このスピーチが終わり、自ら乾杯の発声をされたのだが、驚いたことにグラス六分目ほど入った赤ワインを一気飲み。これには会場から盛大な拍手。

しかし、李登輝基金会の王燕軍・秘書長によれば、この日は午後からあまり体調が優れなかったそうで、その上、晩餐会ではサインや記念撮影をしきりに求められ、ほとんど食事がままならなかった。それが原因で血糖値が下がったようで、めまいを訴えたため早めに退席されて掛かりつけの台北栄民病院へ。

幸いなことに、検査入院では何の異常も見つからず、25日午後に退院されたとのことだ。