20160710-01本会メールマガジン「日台共栄」6月26日号でお伝えしたように、米国連邦議会上院の外交委員会は6月23日、「台湾関係法と台湾に対する6つの約束が米国と台湾との関係における重要な基礎であることを確認する決議案」を採択した。

すると今度は、7月6日(現地時間)に米国連邦議会の上院が「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保証』を米台関係の基礎とすることを再確認する両院一致決議案」を全会一致で可決したという。中央通信社の記事を下記にご紹介したい。

つまり、これでアメリカの連邦議会は、下院、上院ともにほぼ同じ決議案を可決したことになる。その流れは下記のとおりだ。

1)4月20日、米国連邦議会下院の外交委員会が「『台湾関係法』と『6つの保証』を米台関係の基礎とすることを再確認する下院第88号決議案」を全会一致で可決。

2)5月16日、米国連邦議会の下院が「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保証』を米台関係の基礎とすることを再確認する共同決議案」を可決。

3)6月23日、米国連邦議会上院の外交委員会が「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保障』が米国と台湾との関係における重要な基礎であることを確認する決議案」を可決。

4)7月6日、米国連邦議会の上院が「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保証』を米台関係の基礎とすることを再確認する両院一致決議案」を可決。

ちなみに、日本ではまだなじみのないアメリカの「台湾に対する6つの保障」だが、ロナルド・レーガン大統領時代の1982年、ジョン・ホルドリッジ国務次官補(東アジア太平洋地域担当)が議会証言で述べた下記の内容となっている。

(1) 台湾への武器供与の終了期日を定めない。
(2) 台湾への武器売却に関し、中国と事前協議を行なわない。
(3) 中国と台湾の仲介を行わない。
(4) 台湾関係法の改正に同意しない。
(5) 台湾の主権に関する立場を変えない。
(6) 中国との対話を行うよう台湾に圧力をかけない。

米国連邦議会の上下両院で可決されたこの決議に法的拘束力はないものの、米国議会の意思を表明するもので、明文化された意義は大きい。台湾は大歓迎している。しかし、中国は「中国の政策と中米の3つの共同コミュニケの原則に著しくもとる」として「断固反対」を表明している(2016年5月18日、中国外交部の洪磊報道官)。

それにしても、アメリカは米台関係の重要な基礎として「台湾関係法」と「6つの保証」を議会で明文化して確認したが、翻って日本は「日台関係の重要な基礎を確認できる」ものがあるのだろうか。

今の日本に、台湾に関する国内法はない。運命共同体の関係と言われる台湾との間でなにもないのがいまの日本だ。それでも最良の日台関係と言われるのは、民間の草の根交流などで培ってきた人的関係があったからだと言っても過言ではない。今こそ日本版・台湾関係法が求められる所以だ。


台湾への「6つの保証」が上下両院で明文化 米上院、決議案を可決

【中央通信社:2016年7月7日】

米議会上院は現地時間6日、「台湾関係法」と台湾に対する「6つの保証」を米台関係の基礎とすることを再確認する両院一致決議案を全会一致で可決した。これにより、6つの保証が上下両院で明文化され、米議員の米台関係に対する堅い支持が党派を問わず表明されたことになる。

同決議案は共和党のマルコ・ルビオ上院議員によって今年5月に提出され、6月に上院外交委員会を通過していた。また、下院版は昨年10月に同党のスティーブ・シャボット下院議員により提出され、下院外交委員会と下院議会で可決されていた。

決議案にある6つの保証とは、1982年にレーガン政権が台湾側に示した内容で、▽台湾への武器売却の期限を設けない ▽台湾への武器売却について中国大陸と事前に協議を行わない ▽台湾と大陸の間の調停を行わない ▽台湾関係法の改正に同意しない ▽台湾の主権に関する立場を変えない ▽北京当局と協議するよう台湾に圧力を加えない――の6つの項目が盛り込まれている。

駐米国台北経済文化代表処(大使館に相当)は上院での可決に対して感謝の意を表した。さらに、同決議案は6つの保証が米台関係の基礎であることを公開・確認すべきだと米大統領と国務長官に働きかけるものだとした。

両院一致決議案は議会の立場などを示すもので、法的拘束力はない。