邱志偉・立法委員(民進党・高雄市二区)

5月の民進党政権発足を控え、新しい台湾がスタートするとともに、日台関係もますます重要な局面を迎える。駐日代表などの人事にも注目が集まっているが、実は民進党には日本人の奥さんを持つ立法委員がいる。高雄市二区選出の邱志偉委員だ。

邱委員は1972年生まれ、屏東県出身の客家人。二つの修士号と国立中山大学の博士号を持ち、大学准教授を経て高雄県政府や高雄市政府で民政局長を務めた後、2012年の立法委員選挙で当選。今年1月の選挙でも再選され、二期目を務めている。

やや古い記事だが、日本人の奥さんを持つ立法委員が誕生したということで報じられた記事があるので、本会台北事務所で翻訳し、まとめたものを下記にご紹介したい。

日台関係強化を目指す本会としても、今後、邱委員との交流を進めたい考えだ。


高雄市選出の民進党立法委員、邱志偉氏はもともと学者出身。初挑戦となる立法委員選挙で、国民党の現職だった林益世氏を破ったことで党内から一躍注目された。さらに夫人が日本人ということでさらに注目が集まった。邱委員によれば、尖閣諸島の問題がテレビのニュースで流れると、夫人は「尖閣は日本のものよ」と主張するが、政治とは往々にして曖昧なもの、そんな時はただ黙ってチャンネルを変えて聞こえないふりをするのが得策だと話す。

登壇する邱氏と陽子夫人(台湾での報道より)

邱夫人は日本人の安田陽子さん。選挙運動中は夫とともに駆けずり回った。邱委員曰く、家内は誰とでも仲良くなれるのが特技。南部の田舎の方では、おばあちゃんたちやママさんたちに可愛がられていたけど、特に日本教育を受けたお年寄りたちからは、日本人が来たということでとっても親切にしてもらった。今回の選挙(注:2012年)で勝てたのも家内のおかげに依るところが大きい、とのことだった。

ただ、日本人妻ということになると、議論になる政治テーマも存在する。特に最近は尖閣諸島の主権問題が報道されることが多いこともあり、邱委員は「家内は日本人だし、教育のなかで尖閣諸島は日本の領土だと教えられてきた。そこで話し合っても結論は出ない。だから、テレビのチャンネルをまわし、話題を変えて、家庭内では政治の話題を極力持ち出さないようにしている」と話す。

夫人の陽子さんは千葉県出身。台北の国立台湾師範大学語学センターで中国語を学んでいたとき、邱委員と知り合った。2003年に結婚後も引き続き台湾に在住し、「成功する男の陰に偉大な女性あり」と、大和撫子の美徳を発揮している。

もともとは平穏な毎日を送っていたが、夫の邱氏が民進党の要請によって立法委員選挙に参戦することを決めたことで生活は一変した。選挙に初挑戦ということもあって、陽子さんも初めて登壇し夫を手伝った。選挙事務所の事務作業をはじめ、邱氏とともに挨拶まわりをするとともに、台湾語を学んでウグイス嬢がわりを務めることもあったという。また、幼稚園から高校生まで続けたという書道の腕前で、為書きやポスターを書くのも陽子さんの仕事になった。

陽子さんは麗澤大学在学中、ある学期に台湾語の課目を選択したことがあった。現在は夫を少しでも手伝おうと、台湾語の教科書を再度引っ張りだして格闘中だ。

【過去の報道を本会台北事務所で翻訳・まとめたものです】