昨2月4日、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に加盟する日米など12カ国がニュージーランドのオークランドにて協定文書に署名した。日本からは辞任した甘利明・内閣府大臣に替って高鳥修一・内閣府副大臣が羽織と袴の和服姿で出席して署名した。

TPPの発効は全参加国の批准から60日後が原則だが、署名ログイン前の続きから2年たてば「域内GDPの85%以上を占める6カ国以上」が批准した60日後に発効することになってはいるものの、アメリカの域内GDPは約60%、日本の域内GDPは約18%で、日米の批准が不可欠で、どちらが欠けても成立しない仕組みになっているという。

協定が発効すれば、世界の国内総生産(GDP)で4割弱、人口で約8億人に上る巨大な経済圏が生まれる。

協定署名後の焦点は、参加12カ国以外の国・地域が追加で加盟できるかにあるとして、産経新聞は「周辺国をどこまで引き込めるかが地域のパワーバランスを左右しかねないだけに、日本は追加参加を後押しする姿勢が求められそうだ」として、追加加盟に名乗りをあげている韓国、台湾、タイ、フィリピン、インドネシアへの後押しが日本に求められていると報じている。

すでに本会は1月28日、「緊急提言」として「台湾のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)加盟を早期に実現せよ」を発表し、参加各国が台湾のTPP加入に向けての二国間の個別交渉に入ることについて参加国の間で早急にコンセンサスを得るよう、日本政府として積極的に働きかけることを提案し、日本語版と漢文版の2種類を、安倍総理をはじめ石原内閣府大臣や高鳥内閣府副大臣など日台の関係者約120人に送達している。

◆【緊急提言】 台湾のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)加盟を早期に実現せよ


追加加盟に焦点 タイ、インドネシア、台湾…希望国続々 中国抑止へカギ握る“包囲網”

【産経新聞:2016年2月5日】

TPP協定が署名にこぎ着けたことで、今後は参加12カ国以外の国・地域が追加で加盟できるかも焦点となる。既に韓国や台湾、タイ、フィリピン、インドネシアなどのアジア各国が続々と意欲を示している。TPPは中国の覇権主義的な姿勢を抑止する安全保障上の意味合いも強く、参加国の拡大は“TPP包囲網”を構築できるかのカギを握る。

追加参加が認められるのは12カ国による協定が発効した後になるが、承認手続きに2年前後かかるため事前協議を実施する見通し。具体的な手順は今後、各国の首席交渉官が詰める。

オバマ米大統領は2中旬にも東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳を招き、加盟を促す見通しだ。

昨年10月の大筋合意以降、利害を見極めていた国々が相次いで合流に向けて舵を切っている。なかでも、昨年末に単一市場のASEAN共同体が発足した東南アジアでは、TPPに参加したベトナムやマレーシアなどが海外からの投資呼び込みで優位に立つことから、他国に焦りが広がっている。

インドネシアはジョコ大統領が10月の訪米時に加盟を要請。日系自動車大手の生産拠点であるタイも、11月にソムキット副首相が参加の意向を表明した。

中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)を足がかりに経済覇権を広げる姿勢を鮮明にするなか、TPPには世界の成長をリードするアジア太平洋で米国主導の対抗軸を作る戦略が込められている。

両陣営が周辺国をどこまで引き込めるかが地域のパワーバランスを左右しかねないだけに、日本は追加参加を後押しする姿勢が求められそうだ。

TPP署名、行政院長「法改正急げ」

【台湾国際放送:2015年2月4日】

TPPの署名を受けて、張善政・行政院長が法改正の加速を指示した。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に参加する12カ国は4日、ニュージーランドで協定への署名を終えた。これを受けて、行政院の張善政・院長は4日の閣議で、参加国は向こう2年間でそれぞれの国内手続きを完了させることになるとし、台湾は時代遅れの法律や規定を速やかに改めていかなければTPP参加のチャンスを得られないと強調した。

行政院の孫立群・報道官は、張・行政院長の話として、「法規の見直しは大変重要で、時代にそぐわないものの改正作業を加速せねばTPPには加われない。行政院の杜紫軍・副院長に今後の準備作業について政府各部会の調整を要請する。できるだけ早く、TPP参加を実現したい」と話した。

経済部国際貿易局の楊珍妮局長は閣議後の記者会見で、昨年の10月以降、経済部はTPPの協定文から、台湾とギャップのある12項目を整理しているとし、3月にはこれら法律の改正案第一弾を行政院に送り、5月末までには経済、社会、文化、人権、環境、男女平等、働く権利の平等、少数派の人たちの八つの面での影響を予測してまとめる方針を示した。