20110727-01初の国会質疑は台湾紙「自由時報」で報じインターネットでも中継

27日、衆議院外務委員会で与党・民主党の中津川博郷(なかつがわ・ひろさと)議員が台湾出身者を中国籍とする戸籍問題を取り上げ、法務省に戸籍法の改正を求めた。台湾出身者の戸籍問題が国会で審議されたのは初めて。

中津川議員は質問の冒頭、台湾からの義捐金が190億円と世界の中でも突出していることを紹介、松本剛明(まつもと・たけあき)外務大臣に、日本政府は台湾が中華人民共和国の一部と承認していない見解に変更がないことを確認しつつ、戸籍問題について切り出し、「台湾出身者の戸籍の国籍欄や出生地欄で『中国』あるいは『中国台湾省』とされていて、非現実的な記載がされているのはおかしい」と指摘。

また、東京都が2008年5月、台湾からの転入・台湾への転出の際に住民基本台帳で「台湾」の表記を認め、また外国人登録証明書の在留カード化において、2009年7月に入管法を改正して台湾出身者の表記を「中国」から「台湾」と認めるようになったことも紹介しつつ、日本人が台湾の女性を妻にした場合など、国籍が「中国」にされている現状を指摘し、法務省に対して戸籍法の改正を求めた。

これに対して、法務省の小川敏夫(おがわ・としお)副大臣は「日本の国籍表示において台湾を認めるか否かは、台湾に対するわが国の立場を踏まえて慎重に検討する必要がある」と答弁した。

中津川議員はこの答弁に対し「国籍表示でなくてもいい。小川さん、もうちょっと勉強してくださいよ」とたたみかけ、「在留カードでは『国籍・地域』として台湾と表記するようになる。台湾は中国に一回でも税金を払ったこともなければ、その統治下に入ったこともない」「そんな通り一遍(の答弁)じゃ納得できない」と、在留カードの記載を戸籍にも当てはめるようにと迫った。

しかし、小川副大臣は「在留カードでは、台湾は地域として記載することとなっている」と述べるにとどまった。

その後、中津川議員は対応が遅れている法務省に現実に合わせた記載をするよう求め、「わが国は自民党政権以来、台湾軽視政策が続いている。台湾は日本と同じ自由と民主と人権を大事にする海洋国家であり、日本は安全保障上からも台湾を重視した外交の展開を望みたい。日本と台湾は運命共同体だ」と、戸籍問題に関する質問を締めくくった。

なお、翌28日付の台湾紙「自由時報」でも「台人國籍寫中國 日議員質疑」という見出しを付して報じられている