Exif_JPEG_PICTURE今般の中学校教科書「地図帳」の検定において、本会の要望や県議会可決の意見書は反映されていないことが判明したことを受け、本会の小田村四郎会長は7月13日に高木義明・文部科学大臣、帝国書院、東京書籍にそれぞれ質問と要望書を送達した。

また、小田村会長は昨20日、梅原克彦・常務理事(前仙台市長)と柚原正敬・事務局長をともない、昨年7月に続き、地図帳問題の記者会見第2弾として文部科学省において記者会見を開いた。

記者会見には朝日新聞、産経新聞、日本テレビなど10社ほどが集まり、冒頭、小田村会長は高木義明・文部科学大臣宛の「検定済中学校社会科地図帳の誤記に関する質問と要望」を読み上げ、その後、質疑応答に移った。

質問に対し、小田村会長は1945年(昭和20年)に日本が台湾を中国に返還したとする東京書籍の記述については「昭和20年10月25日に日本は台北で降伏文書にサインしたが、これは領土変更を含んでいない。日本の立場は、サンフランシスコ平和条約で台湾を放棄したこと、また1972年の日中共同声明において中国側の言い分に対して『理解し、尊重する』ということで、決して台湾が中国の領土であることを承認したわけではない」と東京書籍の記述が間違っていることの理由を詳しく説明した。

また梅原常務理事も「歴史解釈の問題ではなく、歴史事実の問題であり、歴史事実に反する記述だ」と答え、柚原事務局長も「地図帳問題の背景には、未だに台湾出身者の戸籍の国籍が『中国』とされていることもあるのではないか」として、国籍を「中国」とされている実際の戸籍抄本(個人事項証明書)を資料として配布、住民票や外登証の国籍表記についても説明した。

文部科学省の回答が前と同じだったらどうするかとの質問には、小田村会長は「それはそれで致し方ないが、検定責任は文部科学大臣にある。誤記である以上、文部科学大臣に対して今後とも訂正を求めていく」と答えた。

約30分の記者会見だったが、いろいろな質問を受け、昨年よりも記者の反応は鋭いという印象を受けた。また、記者会見の内容については、産経新聞が記事にしているので下記にご紹介したい。
「台湾 中国領のよう」中学地図帳、交流団体が質問書 【産経新聞 平成23年(2011年)7月21日】

今年3月に文部科学省の検定を受けた中学社会の地図帳で、台湾が中国領のように表記されているのは問題だとして、日台交流を進める民間団体「日本李登輝友の会」(小田村四郎会長)は20日、表記に至った経緯や見解を求める質問書を、文科省と発行した東京書籍、帝国書院に提出したことを明らかにした。

両社の地図帳では、台湾と中国の間に国境線などを示す破線などがなく、中国領のように受け取れる表記になっている。さらに、東京書籍の地図帳では、日本が昭和20年に台湾を中国に返還したと記載。世界の大都市人口の表でも都市名の後に「(台湾)」と付記しながらも、中国の都市として台北と高雄を表記した。同会では「領土に関する解釈の違いではなく、事実として間違っている。近隣諸国への配慮から表記しているのであれば、事実を歪曲(わいきょく)する深刻な事態だ」と話している。