本年4月5日に放送された「NHKスペシャルJAPANデビュー」第一回「アジアの〝一等国〟」は、放送法第三条に「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と定めているにもかかわらず、台湾統治時代の日本が一方的に台湾人を弾圧したとするような視点で番組を制作した。

これは、日本人に自虐史観を植え付け、良好な日台関係に楔を打ち込もうとする、まさに中国が喜ぶような内容で、視聴者に対する許しがたい背信行為であり、台湾人に対する侮辱行為である。それどころか、取材や編集の過程における「やらせ」取材や歪曲取材、サブリミナル効果などを狙ったとしか考えられない悪質な印象操作編集を行ったことがすでに明らかになっている。

最近になって、日英博覧会でパイワン族が「人間動物園」の見せ物として展示されたという放送内容について、取材を受けたパイワン族の女性と男性に検証取材したところ、「悲しいね。この出来事の重さ語りきれない」と話した「悲しい」という言葉はパイワン語で「懐かしい」の意味だったことが判明している。NHKから「人間動物園」などという言葉も知らされていないこの女性は、自分の父の写真を見て「懐かしい」と言い、その父が亡くなったことの「重さ」は「語りきれない」と話したのだった。その上、男性が話したとばかり思っていた「悲しいね、語りきれないそうだ。悲しい、この重さね、話しきれないそうだ」という日本語による発言は、この男性ではなく、隣に住む男性の声だったことも明らかになった。これは「やらせ取材」以外の何物でもない。

このような放送人としてやってはいけない「やらせ取材」に基づいたプロパガンダ番組は、国民の税金と視聴料によって経営されている公共放送として、絶対に許されるものではなく、放送法に抵触する犯罪行為であると言っても過言ではない。

いかにNHKが無視しようとも、番組に対する批判の方が圧倒的に多いことはNHK自身が証明しているのだ。放送から二ヵ月を過ぎても批判は一向に鎮火せず、むしろ燎原の火のごとく広がり、60名を超える自民党の国会議員による「公共放送のあり方について考える議員の会」が設立された。また、番組に出演した台湾の柯徳三氏や藍昭光氏からは署名・捺印した「NHK番組『JAPAN・デビュー』に対する抗議と訂正を求める文書」が提出されてもいる。さらに、6月25日にはNHKへの集団訴訟も起こされ、すでに5000名になんなんとする人々が原告となっている。

これは単なる一番組の偏向問題などではなく、NHK全体に及ぶ放送、制作姿勢の問題である。従って我々はこの問題を公共放送の危機ととらえ、第一弾、第二弾の抗議大行動に引き続き、NHKに対して番組制作責任者の罷免と訂正・謝罪放送、並びにシリーズ「JAPANデビュー」の制作と放送中止を要求する。国民に対しは、NHKが訂正放送を実施するまで受信料の支払い拒否を呼びかける。また政府に対しては、放送法を改正してNHKとの受信契約を自由契約に切り替えるよう要求する。

 平成21年6月20日

第3回「NHK『JAPANデビュー』に抗議する国民大行動」参加者一同