日台断交後、平成15年(2003年)から再開された天皇誕生日祝賀レセプションが、17日夜、台北市内の国賓大飯店で開催された。23日は、台湾では休日ではなく、年の瀬も押し迫ることから例年通り、前倒しで行われたもの。

午後6時から始まった祝賀レセプションには李登輝元総統をはじめ、欧鴻錬・外交部長、陳鴻基・亜東関係協会会長、羅福全・元駐日代表、許世楷・前駐日代表ら台湾側の要人も多数出席され、昨年を凌ぐ約700名が参加する盛会となった。会場入口に設けられた受付の周囲は台湾の政界、財界から贈られた花で満杯となり、花に埋もれるかのよう。

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李登輝元総統と齊藤正樹・交流協会台北事務所代表(左)

齊藤正樹・日本交流協会台北事務所代表ご夫妻は、ホテル玄関前で李登輝元総統を出迎え、車から降りた李元総統は「おめでとうございます」と祝意を述べた。

国歌斉唱から始まった式典で、齊藤代表は最初と最後の挨拶を台湾語で行い、台湾側の参加者からは歓声と拍手が送られた。挨拶の要旨は下記のとおり。

「40年前、外務省の語学研修生として2年を過ごした当時の台湾と現在を比べると、経済の発展はいうまでもなく、自由や民主の点で台湾が劇的な進歩を遂げたことを感じます。我が国は今後も、各方面で台湾が発展していくことを希望しております。(中略)

私は、今後の日台関係を更に発展させるために特に重要な点が二つあると考えています。

まず、様々な交流活動を通じて、日台間の相互理解をより一層深いものとしていかなくてはなりません。特に、次代を担う若者たちの交流を一層盛んにする努力が必要と考えます。
次に、日台双方の当局で問題を解決するに十分な能力を備えなければなりません。いくら日台関係が良好といっても、時には問題の発生が避けられないこともあります。

今年6月に発生した連合号事件をご記憶の方も多いかと思います。今後は、双方の当局が意思の疎通を図り、更なる信頼関係の強化に努め、協力してお互いにとってより良い方法を模索し、問題が発生しないように予防していく努力が必要です。

それでも問題が発生してしまった場合には、その余波を最小限に喰いとめ、理性的な問題解決を図ることが最も大切だと考えております。

長年、日台間の懸案事項となっている漁業権の問題についても、ただいま申し上げたような精神を以て努力していけば、双方にとって必ずや良い結果を生むことと信じております。(後略)」

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齊藤代表が祝詞を述べる際には、天皇皇后両陛下の御真影が飾られた壇上に対峙し、直立不動でじっと耳を傾けていた

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天皇誕生日の祝詞と、出席者への感謝を述べる齊藤代表

続いて、来賓の欧鴻錬・外交部長が祝辞を述べた。
「新政権が発足してから、日台間には若干の問題も発生したが、幸い双方の政府が冷静に対応したことにより、迅速に解決することができた。ご尽力いただいた齊藤大使をはじめとする外交官の皆様に特に感謝申し上げる次第。
新政権は従来通り、日本と台湾は特別なパートナーシップの関係であると認識しております。台湾人観光客のノービザ制度や自動車免許の相互承認などにより、日台間の往来は年間250万人を超すほどになっている。今後もますます両国の関係が緊密になるよう努力していきたい。」

SONY DSCレセプションの途中には、台湾映画史上、空前の大ヒットとなった『海角七号』に主演した田中千絵さんも駆けつけ花を添えた。李登輝元総統も立ち上がって孫娘のような田中さんと握手し、記念写真に納まった。