日本李登輝友の会理事・日台鉄路愛好会幹事 片木 裕一

先般12月12日に台湾高速鉄道(台湾版新幹線)に試乗し、「体制は整っているが、楽観できない。かつ車両の汚れが目立つ」と報告したが、最新情報を報告したい。

何はさて置き、「いつ開業?」が最大の関心事である。

先日は「12月に入りトラブルあり、年内開業は不可能」と述べたが、その後、このトラブルは車両基地(車庫)内のことであり実害もなかったことから、台湾交通部はこれを不問とした。

22日までの段階でトラブルの発生はなく、この週末に大過なければ、「12月23日期限」が有効になり、今日25日、営業許可審査が行われる。営業許可がおりれば、その後の手続きは最短一週間、従って早ければ来年正月の開業が可能となる。

昨日時点(12月25日)では認可および開業予定は未確認であるが、仮に手続き上「1月1日開業」が可能になっても、実施することには賛成できない。この数ヶ月、関係者は必死の努力を続けてきたはずであり、全くゆとりを持つことなく開業に流れ込むのは危険極まりない。ただでさえ年末年始は不慮の事態が発生しやすいのだから、ここは一呼吸おいて取り掛かるのが賢明な選択と言える。

個人的な見解であるが、旧正月(2月18日)をにらんだ2月上旬がいいのではないかと思う。

車両の汚れなど先に指摘した問題点については、その後、以下のことが判明したので併せて報告したい。

車両の汚れについては、高鉄側も真剣に考えているとのこと。最大の原因は、車庫にある「車両洗浄機」を本格稼動させていなかったことだ。これは試験運転に注力するあまり、洗浄についてはおろそかになっていたが、「車両は鉄道の顔」については充分に意識しており、開業時には見苦しい姿を見せることはない、とのこと。

また、「鳥との衝突」は運転士からも意見具申があり、いろいろ検討されている。有力な対策としては、通過直前に「爆竹を鳴らす」というもの、いかにも台湾らしい。

なお、当初の開業は「板橋~左営」であるが、25日以降「台北~板橋」の本格的な試運転も開始される。この区間はいろいろ課題があったのだが、克服できた模様である。既に接客設備はできているので、早ければ旧正月に晴れて開業できる見通しとなった(でも、楽観はできない)。
加油、高鉄!(12月25日記)


待望の高速鉄道が1月に開通へ

交通部高速鉄道監督指導委員会は24日、高速鉄道(新幹線)は安全基準を達したと認めた。高速鉄道公司は今日25日に開業許可を申請し、27日にも取得の見通し。1週間のテスト開業の後、早ければ1月3日に開業する。台湾全島は「1日生活圏」が実現する。

開業時は板橋駅から高雄左営駅まで1日19本の列車が往復する。うち板橋、台中、高雄左営間の直行列車は1日4本。板橋から高雄左営の運賃は1460元、ビジネスクラスは2390元の予定。

高速鉄道監督指導委員会ではロイド船級協会と日本の新幹線の代表が意見を表明し、ともに安全にお墨付きを与えた。両者とも、高速鉄道の設備及び人員訓練も十分に基準に達しているとし、開業に問題はないと証言した。【12月25日付「な~るほど・ザ・台湾」】