日田市大山町の温泉複合施設「豊後・大山ひびきの郷」に設置された李登輝・前台湾総統の書の石碑(縦140センチ、幅60センチ)について、三笘善八郎建立委員長(旧大山町長)は23日、ひびきの郷(市有地)外の私有地への移設方針を固めた。「建立は私的なものと分かった。市有地への建立は好ましくない」との市の要請を受け入れた。

三笘氏は旧大山町長だった04年11月、町民約20人と共に台湾の温泉観光地「烏来郷」を訪れ、大山町長と烏来郷長名で友好交流宣言に調印した。ひびきの郷を経営する第3セクター「おおやま夢工房」社長でもある三笘氏は親日家の李前総統に記念揮ごうを依頼、合併後の昨年6月「真実自然」の書が贈られてきた。

三笘氏らは建立委員会を設立し、寄付金など90万円で石碑を製作。今年3月、市に「ひびきの郷内への建立」を申請、許可を得て4月9日、除幕式をした。

ところが地元から「調印は町議会議決を経ておらず、市有地への建立はおかしい」との指摘があり、市は調査の結果「私的な訪問・調印」と判断。23日、移設を要請した。

三笘氏は「合併を控え正式な盟約調印でないのは承知の上。合併後の大山町振興と台湾観光客誘致を考え調印した。今後は中国人観光客の来園にも配慮し、李前総統に失礼ないよう、しかるべき場所を選びたい」と話した。

2006年5月24日付・毎日新聞