すでにお知らせしましたように、去る2月14日、育桜会と本会は台湾の李登輝之友会全国総会に河津桜の苗木1,000本を寄贈し、仮植樹地の南投県名間で寄贈式典を行いました。

東京新聞の前台北支局長で論説委員の迫田勝敏氏が育桜会の園田天光光理事長にスポットを当て、下記の記事を書いています。いささか古くなってしまって恐縮ですが、ご紹介します。

それにしても、人の縁というのは不思議なものです。迫田論説委員と育桜会の出川達郎常務理事は大学の同級生でかつ同じクラスだったそうです。大学を卒業後は職業も違っていたため音信不通だったそうですが、この桜寄贈活動の過程で巡り合い、お互い40年ぶりの再開に驚くやら嬉しいやら、その奇遇に感謝し、一献傾けたとのこと。


「白亜の恋」と言えば、年配者ならその名を思い出すだろうか。園田天光光さん。60年前の戦後第1回の総選挙で当選した女性代議士第1号で、その後、党派の違う故園田直元外相と結婚した。間もなく87歳になるが、今も10以上の団体の役員として着物姿で飛び回っている。

その一つが、NPO「育桜会」の理事長。4年前の発足で、会員はまだ100人足らずだが、「桜は日本の心。桜の苗木を贈って世界平和に貢献する」と夢は大きい。これまで海外ではブルガリア、台湾、中国に贈った。

台湾には3年前に200本の河津桜を贈呈し、一部が昨春、開花した。喜んだ台湾側の求めで、園田さんは昨秋、訪台し、李登輝前総統とも会い、再度の寄贈を約束。その直後、今度は中国の要請で北京に飛び、枝垂れ桜百本を贈る。台湾への寄贈は日本の民間団体の募金で、千本規模になり、来月、発送する。対峙する中台にも「日本の心」が浸透していく…。

園田さんはいう。「政治では平和は来そうにないでしょう。これからは文化ですよ」。元早大総長の西原春夫さんも「政府ではできないことで平和貢献したい」と、昨秋、NPO「アジア平和貢献センター」を設立し、今年から本格的な活動を始める。ともに平和構築は官より民というわけだ。

そういえば最近のノーベル平和賞は民間の受賞が多い。植林などケニアの環境保護活動家マータイさん、イランの人権活動家シーリン・エバディさん、さらには国境なき医師団…。政治の壁を破って世界平和を実現できるのは、確かに民の力なのかもしれない。(1月26日付 東京新聞 私説・論説室から 迫田勝敏)