李登輝前総統は10月5日、台北市内のホテルで行われた桜の木の贈呈式に出席し、「台湾と日本は生命共同体であり、その絆は決して揺るがない。台湾は台湾人だけのものではなく、日本も日本人だけのものではない。日本は台湾人の日本であり、世界の日本である」と述べ、台日の絆を強調した。

贈呈式は、世界各地に日本の桜を広める活動をしている日本の非営利団体「育桜会」と、「(台湾)李登輝友の会」との間で行われたもので、桜の木1,000本が贈られることが決まった。「育桜会」はこれまでにも台湾へ桜を寄贈しており、同会の園田天光光会長は「桜の木を贈るのは娘を嫁がせる気持ちに似て一抹の寂しさもあるが、以前贈った桜の木が台湾で見事に成長している様子を見て感激した」と挨拶。同会では今後1万本を目標に寄贈を続けることにしている。

これに対し李登輝前総統は「最近地球規模で多くの自然災害が起きている。台湾は今年7月と8月に相次いで台風の被害を受け、日本でも9月に同様の災害が起きている。米国のハリケーンも深刻な被害をもたらした。人は自然なしには生きられず、自然を大切にしなければならない。自然環境の問題は他人事ではなく、一人ひとりの問題だ。みなで植樹をし、環境保護に努めよう」と呼びかけた。

また「昨年『育桜会』から贈られた木が台湾で順調に花を咲かせ、桜の木は台湾の一部となり、台湾の美しい環境を造っている。桜は寒さに耐えてこそ美しい花を咲かせる。台湾人も日本人もその精神に学ばなければならない」と強調した。

(メールマガジン『台湾の声』より転載)