日本李登輝友の会事務局次長 片木 裕一

9月8日16時(現地時間)、台湾高速鉄路が改訂開業日を発表した。Xデーは2006年(平成18年)10月31日、以下はその説明の一部である。

この目標を達成すべく、一番問題の電気系統工事に人的・資金的増強を図り11月完成を予定、また10月からは燕巣(高雄)だけでなく桃園でも運転訓練を開始するという。

また資金面は、現在、総額を4607億NT$としているが、193億NT$増やして4800億NT$とする。内訳は利息支払等で138億NT$、その他の営業費用で5億NT$。逆に、工事が遅れたことにより年内の支払は約260億NT$減少する予定であり、これらの状況を踏まえて銀行団は再検討してもらいたい、とのことである。

最後に「台湾高鉄は今後とも安全・品質を最優先する」と結びメンツや形式にこだわらないことを宣言している。
一見無難な内容であるが、疑問も多々ある。

例えば、上記説明にはでは記載しなかったが、駅工事の進捗は92%という。しかし、これはほぼ一律なのか、どこか極端に遅れているところはないのか。

運転訓練についても、10月末にはJRの運転指導員は引き揚げてしまう予定だが、その後は誰が訓練指導するのか。まさか新幹線を扱ったことのない欧州の指導員ということはないかと思うが……。JRとの提携は継続、むしろ強化すべきであろう。

資金対策も銀行団に下駄を預けたようなものである。年内の支払は約260億NT$減少するというが、一番遅れている(進捗率60%)電気系統工事を11月に完成させるのであれば、遠からず請求書が届く。そもそも今にいたるまで資金調達はほとんど未達成だったにもかかわらず、新たに193億NT$増資といっても説得力がない。

とはいえ、まずは思い切った発表にエールを送りたい。この来年10月という期日は日台双方が最善を尽くしてギリギリ達成可能な期日である。決めたからには日台関係者は一致団結して頑張っていただきたい。


台湾版新幹線の開業、来年10月末に延期 【9月8日付・NNA】

台湾高速鉄路(台湾高鉄)は8日午後、高速鉄道(台湾版新幹線)の開業時期を、本来予定されていた今年10月31日から来年10月末に延期すると発表した。

高速鉄道は日本の新幹線技術や車両を導入し、台北~高雄間の345キロメートルを約90分で結ぶもの。三井物産、三菱重工業、川崎重工業、東芝、三菱商事、丸紅、住友商事による合弁会社の台湾新幹線(TSC)が、車両、電車線(架線)、信号システム、通信システム、変電、運行管理などの中核システムを受注している。しかし、機械電気システムの建設が遅れ、開業の延期が心配されていた。


台湾新幹線の開業延期 システム整備難航 1年遅れ来年10月に【9月9日付・西日本新聞】

日本の新幹線システム初の海外輸出となる台湾高速鉄道(台湾新幹線)の開業が、当初予定の今年10月から一年遅れて来年10月末になることになった。建設・運営主体の台湾高速鉄路公司(台湾高鉄)が八日、発表した。日本の企業連合が請け負っている車両、信号など中核となる機械電気システムの整備が遅れているのが主な原因。

同新幹線は当初、独仏企業連合への発注を内定していたが逆転で日本の新幹線が採用された経緯があり、安全基準などの基本的枠組みは欧州のシステムのまま。それと日本方式をすり合わせる作業が難航、工事全体に大きく影響している。

同社によると、工事全体の進捗(しんちょく)率は今年7月末で約88%と当初予定より9ポイントマイナス。うち機械電気システムが約32ポイントマイナスの60%と大きく遅れている。工事を促進するため北部の桃園地区にテスト区間を増設。同区間での試験走行を来年1月に始め、8月に全線での商業運転走行試験をする計画だ。

また、同社は開業延期で、総事業費が当初の約4,600億台湾元(約1兆6,100億円)から約4,800億台湾元に膨らむ見通しも明 らかにした。営業収入を一日1億3,000万台湾元と見込んでいたが、この遅れで年内に予定している260億台湾元の増資など資金調達が難航する懸念もある。

一部台湾メディアは、台湾高鉄が日本側への賠償請求も検討していると伝えていたが、同社は「安全を最優先し全線開通を目指す」とコメントした。