第2回総会は風薫る5月30日、昨年と同じく東條インペリアルパレスにおいて開催されました。総会には正会員約170人が出席し、理事会で議決した新理事や今年度の活動方針、予算案などを満場一致で承認していただきました。

新たに理事に就任されたのは、宗像隆幸氏(アジア安保フォーラム幹事)、宮崎正弘氏(評論家)、藤井巌喜氏(拓殖大学客員教授)、張国興氏(久留米大学教授)、伊原吉之助氏(帝塚山大学名誉教授)、清水誠一氏(北海道議会議員)、名取憲彦氏(日台関係を促進する地方議員の会会長)などの方々です。

また、事業計画では、本会の目標の一つでもある李登輝前総統の来日実現やシンポジウムの開催、会員拡大と支部の増設などが承認されました。

なお、先に阿川弘之会長から高齢を理由に退任の申し出がありましたので、理事会で審議したところ、この申し出を了承、新会長に小田村四郎副会長を選出いたしました。この理事会議決は総会でも承認され、小田村新会長は総会における就任挨拶の中で、阿川前会長に名誉会長就任を委嘱しています。

この総会には、第1回に引き続き、李登輝前総統より長文の祝辞をいただいています。台湾の現状を訴えるメッセージで、総会の冒頭に読み上げられると、出席者はその切々とした内容に深く感銘した様子で拝聴していました。

総会の記念講演は、台湾の亜東関係協会会長への栄転が決まった羅福全・台北駐日経済文化代表処代表により「台湾の近代における日本経験」と題して行われました。

李登輝前総統から寄せられた祝辞

阿川弘之会長をはじめ副会長の皆様、理事の皆様、会員の皆様。本日の日本李登輝友の会第2回総会に当たりまして、一言ご挨拶を申しあげます。

まずは日ごろよりわが国を強く支持され、そして台日の親善交流を精力的に推 し進められる貴会に対し、心から御礼を申し上げます。また僅か1年半で全国的 に1,000人以上の会員を持ち、5つの支部を成立させ、日本最大の親台湾団体となったことに敬意を表します。

さらに、私が総召集人を務めた昨年9月6日の正名運動にも参加され、あるいは今年2月28日の「手護台湾、100万人人間の鎖」に呼応し、東京で「台湾支持」をアピールするデモ行進を行い、台湾人を励ましてくださったことにも感謝しております。

さて、わが国では先日総統選挙が行われ、日本の皆様の多大なる声援のおかげもあり、本土化政策を推進する陳水扁総統が無事再選を果たしました。

今回の陳総統の勝因には、国民の台湾人意識の高揚がありました。先に述べた台湾正名運動も人間の鎖もそれぞれ大成功を収めたように、台湾人は現在、「台湾は台湾人の国家であり、決して中国の一部ではない」という意識のもとで大団結し、新国家建設に向けて着実に前進しているところです。もちろん、このような台湾の動きに対し、中国は妨害活動を強めています。今回の総統選挙や公民投票をめぐっても、この国は日米政府などを通じ、多大なる圧力をかけてきました。

しかし、世界の方々に知ってもらいたいのは、歴史的に見ても国際法的に見ても、台湾は中国の領土ではないということです。そして、台湾がいかなる国家形態を採るかは、台湾人自身が決定するべきだということです。ところがこれら自明の理を、なぜ日本政府は理解しようとしないのでしょうか。中国は台湾併合をもくろむ侵略国家です。このような国に日本が配慮し、その言いなりになることは、明らかに台湾侵略に加担することに等しいのです。

台湾は現在、台湾人の手になる新憲法を制定しようとしています。なぜなら現在の中華民国憲法は、中華民国が中国において中国のために制定したものであり、台湾人のための憲法ではないからです。この憲法に従えば、台湾の国名は中華民国ですが、中華民国は1949年の時点ですでに消滅し、現在は存在しません。

また、この憲法が規定する領土にしても、現在では中華人民共和国やモンゴル国の領土になっており、これほど嘘で塗り固められたものはありません。ご承知の通り、総統選挙後の台湾では、潔く敗戦を認めない野党が騒乱を起こしていますが、その騒乱の本質も中華民国体制下の国家意識の混乱によるものです。

台湾は国家正常化のため、正名を一刻も早く行わなくてはならないのです。それはつまり、台湾の名を「中国」から「台湾」へと改めることです。そして、そのためにも必ず新憲法の制定を行わなくてはならないのです。これは住民自決に属する問題であり、中国やその他の諸国が妨害するべきことでは決してないのです。

台湾人はこのようにして新国家を建設し、自国のみならず、東アジア全体の平和と安全を防衛しなければなりません。そしてそのためには、やはり日本とも協力し合わなくてはならないのです。しかし今の日本を見ていると、甚だ心許なさを感じます。中国に気兼ねをするばかりで、政府には何ら台湾政策すら打ち立てていない有様です。このような状態でどうして東アジアの平和を守って行くことができるのでしょうか。

私は台湾人に対し、台湾人のアイデンティティと、それに基づいた国家意識、国防意識の構築を訴え続けてきましたが、それと同時に日本人に対しても、覚醒を求めてきました。なぜなら台日は明らかに運命共同体であるからです。日本の皆様にはぜひこのような観点に立ち、台湾の新たな国家作りを見守っていただきたいと思います。

そして、正義のためなら犠牲をも惜しまない武士道精神を回復し、台湾人とともに立ち上がっていただきたく思います。

日本李登輝友の会は、そのような精神をお持ちの方々の集まりであると聞いております。今後も我々台湾人と大いに提携してまいりましょう。

最後に貴会のますますのご発展、ご健闘を心よりお祈りいたします。

 李 登 輝

 2004年5月30 日