「日台文明史講座 台湾の中の日本」 講師 黄文雄氏

日本と台湾の関係は安全保障の面などで重要性を増しつつある。しかし、日本人はどれくらい台湾を知っているのだろうか。日本は台湾の近代化にどのような関わりを持っていたのだろうか。なぜ李登輝前台湾総統のほどの哲人政治家が「日本がうらやましくてしょうがない」と言うのだろうか。

これらの疑問に、昨年も『台湾 朝鮮 満州日本の植民地の真実』『日本人が台湾に遺した武士道精神』『中国が葬った歴史の新・真実』など、次々と日本人に歴史認識の転換をせまる問題作を送り出し、日台問題の第一人者である黄文雄先生が、この6時間連続講義の中で明快な「解」を提示いたします。

ご参加の方は、資料や懇親会準備などの都合上、必要事項をご記入の上、FAXかメールにてお申し込み下さい。

【日 時】平成16年2月8日(日)10時~17時[9時30分:開場 12時~13時:休憩]

【会 場】文京区民センター 3-A (東京都文京区本郷4-15-14  TEL 03-3814-6731)
※文京シビックセンターとは別の建物ですのでご注意下さい!

【講 師】黄 文雄 先生
評論家・拓殖大学日本文化研究所客員教授・日本李登輝友の会常務理事。1938年(昭和13年)、台湾・岡山生まれ。1964年(同39年)に来日。早稲田大学商学部卒業後、明治大学大学院西洋経済史学修士課程修了。『中国の没落』が大反響を呼び評論家活動へ。主な著書に『台湾は日本人がつくった』『中国人の卑劣 日本人の拙劣』『台湾 朝鮮 満州日本の植民地の真実』『日本人が台湾に遺した武士道精神』『中国が葬った歴史の新・真実』など多数。

【テーマ】台湾の中の日本 ■第1部:台湾の殖産興業 ■第2部:台湾の文明開化 ■第3部:台湾の将来

【参加費】1,500円(会員および学生)2,000円(一般) *当日入会の方も会員割引

【懇親会】 午後5時30分~7時30分 同会場 参加費 2,000円


第1部 台湾の殖産興業

①生態史からみた台湾の殖産興業
・陸と海の文明からみた台湾の地政学
・植生が語る240 万の台湾自然史
・東亜の島国が共有する日台の超古代史
・開かれた世界最後の「暗黒の秘境」
・台湾自然史の中での殖産興業

②物流史が語る台湾近代社会の成立
・東南アジア型台湾の人流・物流史
・日本時代から始まった台湾交通史
・人流・物流が発達しなかった理由
・閉鎖的部落社会から単一市場の形成
・文明史からみた台湾人流・物流の変容

③水文史からみた台湾近代の変貌
・水が語る人類の文明史と水の思想
・治山治水からはじまる台湾の国土開発
・ダム建設が変えた台湾の農業
・水力発電から生まれた近代台湾産業
・台湾生活史を変えた上下水のインフラ

④環境学が語る台湾の医療衛生
・毒水と瘴癘の島としての衛生環境
・東亜世界の近代医療衛生環境
・「十去六死一回頭」の台湾移民・植民史
・台湾の医療環境を変えた日本の近代医学
・台湾史における医師の役割と課題

⑤商品経済が変えた台湾の農業
・中継貿易時代からの台湾伝統農業
・台湾の伝統農業を変えた近代インフラ
・自然博物研究から生まれた台湾近代農業
・米糖で支えられた台湾の伝統経済
・「農業台湾 工業日本」という日本植民地論の見識と不見識

⑥資本と技術の移転から生まれた台湾近代産業社会
・中継貿易から新興通商産業国家への路程
・自給自足の原始経済から商品・貨幣経済へ
・知の発見と蓄積の後藤新平の三大調査
・紊乱な貨幣経済の整理から金融財政制度を確立
・化外の地から近代産業社会への変身

第2部 台湾の文明開化

①台湾文化史が語る台湾の文明改宗
・台湾文化の多層構造と変動
・考古学から見た台湾の文化と種族
・日台文化の共有共通な性格
・台湾文化と中国文化はどこがちがうのか
・台湾文化史からみた台湾の文明改宗

②土匪史観から見た近代法治社会の確立
・匪賊史が語る東アジア史
・土匪が支配する台湾の社会構造
・日本領台初期の土匪事情
・夜警国家をめざす台湾社会の近代化
・台湾法治社会の成立と動揺

③近代教育から生まれた近代精神と科学への開眼
・化外の地台湾の教育実態
・書房教育から国民教育へ
・多言語社会から共通言語社会の確立
・近代社会科学と自然科学への開眼
・近代精神と文化の確立

④漢蕃抗争史が語る民族・文化の問題
・漢人の侵入と原住民との抗争
・械闘と漢蕃抗争300 年史が語るもの
・沈葆禎と劉銘伝の「開山撫蕃」
・佐久間左馬太大将の山岳民族征服
・械闘と漢蕃抗争を克服した法治社会の確立

⑤民族史からみた台湾民族の形成と条件
・近代民族の成立と民族主義
・台湾民族主義VS中華民族主義
・台湾のナショナリズムとその歴史
・中華民族以上に成熟する台湾民族
・台湾人をめぐる論議と解題

⑥近代国民国家台湾の文明的基礎
・近代国民国家の時代と歴史
・近代国民国家の時代は終わったか
・日本文明開化の第2の波としての台湾の近代
・中華帝国の国家観と近代国家像
・21世紀の台湾の国家条件と文明的基礎

第2部 台湾の未来

①問われる21世紀の台湾の課題
・20世紀の課題としての後進性の克服
・「出頭天」をめざす台湾人の主体性と国家主権の確立
・問われる統独対立と国家選択
・独立国家への道を阻止できないそれだけの理由
・台湾が直面する困境はほとんど精神文化から来るもの

②21世紀台湾の国家的課題
・目下台湾が直面する内外の課題
・国家選択としての2004 年総統選挙
・問われる21世紀の台湾の国家戦略
・連動する台中関係と未来の不確定性
・最重要事項は米台関係

③中台軍事対立の行方
・中国の台湾文攻武嚇の実態
・中台対立の本質と性格
・中国の超限戦と対台湾軍事戦略
・中台400年抗争史の延長としての未来戦争
・中台戦争の可能性と世界への影響

④21世紀の台湾経済の進路と条件
・やがて同時崩壊がはじまる台湾対中投資の危険度
・民進党政権の経済は失敗していない
・よくなっている台湾の投資環境
・物本・資本から人本主義への台湾
・これからも台湾の資本と技術の移転はつづく

⑤一蓮托生の日台関係
・日台共有の文化と文明
・共有する日台未来への課題
・国家目的も戦略も立たなかった国家日本
・もし台湾が中国の一部になったときの日本は
・台湾の選択は日本の選択でもある

⑥21世紀の台湾の国家戦略
・アジア安保と日米台の同盟関係
・なぜ米台合衆の政党があって日台合邦の政党がなかったか
・もし米中同盟になったら
・日本が選ぶべき国家戦略
・小国台湾が選ぶべき生存の道