〔自由時報駐日特派員 張茂森=東京21日〕訪日中の姚嘉文(よう・かぶん)考試院長は、21日、日本李登輝友の会の招きに応じて東京で講演した。台湾政府のもっとも重要な仕事は「正名」と「制憲」であり、これは台湾の民意の主流であるから、特定の政党が抵抗して翻すことのできるものではないと指摘した。

姚嘉文氏は公務員の人事制度視察のために訪日している。21日は東京・池袋で「台湾の現在と将来」というテーマで講演を行った。姚氏によれば、今の台湾政府が昔ともっとも違うのは、昔は、政府が中国の代表であることを強調して、いわば「中国の国」であったが、今の台湾政府は、「中国の国」から「台湾の国」へ生まれ変わろうとしている点であるという。政府と住民の関係も「外来者による政府」から「台湾本土出身者による政府」に変わりつつあり、李登輝前大統領および陳水扁大統領がこの方向に向け台湾人民の先頭に立っている。この目的を達成するために最も大切なのは「正名」と「制憲」であると指摘した。

姚氏によれば、50数年前に制定された中華民国憲法は台湾に大きな困難をもたらしている。この古い憲法で規定されている政治体制は、現実との乖離が甚だしい。台湾人民に必要なのは、台湾の現状に見合う憲法であるという見方は、主流民意であり、この流れは、ある政党が抵抗して変えられるものではない。

姚氏はまた、台湾では多くの場所、たとえば地名や団体に「中国」という表記を使用しているものがまだ残っていて、見る人に錯覚を与えている。ライオンズクラブ、青年会議所、ロータリークラブなど、すでに多くの団体が(中国ではなく)「台湾」を冠するようになっているが、一方で、中国スチール、中国造船、中国国際商業銀行などは、いまだに「中国」を戴いている。

台湾の制憲と正名は、中国への挑発などではなく、(中国との間の)現状を変えるものでもない。ただ単に台湾を正常化するだけである。台湾はこれまで正常化が遅れたため、現在内部に、おかしな現象があふれており、台湾の国際外交における発展に(マイナスの)影響を与えている。

台湾の考試院(編集部注:公務員試験を担当し、中華民国憲法では「五権分立」の一角として、行政院や立法院と同格)では、考試委員が19名いる。公務員の数から言えば、日本は台湾よりずっと多い。それなのに人事院の人事官は3人に過ぎず、内閣の下に置かれている。これは今回の訪日視察の中で、とくに台湾が参考にすべき点であった。「台湾政府の最終的な目標は台湾を正常な国家に変えることである」と姚氏は結んだ。(12月22日付「自由時報」)