日本政府は4月29日付で、令和5年春の叙勲受章者を発表しました。受章者は4,009人で、別枠の外国人叙勲は50ヵ国・地域の103人でした。

今回、台湾からは元台湾日本関係協会会長の邱義仁氏、屏東科技大学名誉教授の丁澈士氏、漆工芸家の王清霜氏が受章されました。

邱義仁氏は台湾日本関係協会会長のときに、本会の「役員・支部長訪台団」で何度か意見交換しており、日本との関係をとても大切に考えていることがよく分かるお話しをしていただきました。現在の日台関係は最良だと言われますが、邱義仁氏のご尽力によるところが大きいのではないかと思います。

日本人技師、鳥居信平が屏東県来義郷の林辺渓に地下ダム・二峰圳を大正12年(1923年)に完成させ、100年を経たいまも20万人の人々に飲用水や灌漑用水を提供し続けていますが、このことを初めて日本に伝えたのはノンフィクション作家の平野久美子さんの『台湾に水の奇跡を呼んだ男 鳥居信平』です。

丁澈士氏はこの二峰圳の研究者で、日本のオピニオン誌にも平野さんの翻訳で鳥居や二峰圳について発表したことがあります。本会の訪台団で二峰圳を訪問したときには、丁教授自ら詳しく解説していただきました。。

王清霜氏は1922年生まれの101歳。台中工芸専修学校で漆塗りを学び、東京美術学校(現在の東京芸術大学)漆工科に進学。帰台後は台中工芸専修学校で後進の指導に当たり、2009年には台湾の人間国宝とされる重要無形文化財(漆芸)保持者に認定されました。昨年5月、詩人の李敏勇さんなどとともに台湾の文化界における最高栄誉とされる「行政院文化奨を受賞しています。

心からお祝い申し上げ、内閣府が発表した「令和5年春の外国人叙勲受章者名簿」から、主要経歴や功労概要などをご紹介します。

◆内閣府発表「令和5年春の外国人叙勲受章者名簿」(令和5年4月29日付け発令)

・邱 義仁(きゅう・ぎじん Chiou I-jen)   旭日重光章
 元台湾日本関係協会会長
 日本・台湾間の友好親善及び相互理解の促進に寄与
 台北市 男 72歳

・丁 澈士(てい・てつし Ting Cheh-Shyh)   旭日中綬章
 元屏東科技大学土木工学科教授、屏東科技大学名誉教授
 日本・台湾間の学術交流及び相互理解の促進に寄与
 屏東県 男 66歳

・王 清霜(おう・せいそう Wang Ching-shuang) 旭日双光章
 漆工芸家
 漆工芸を通じた日本・台湾間の文化交流の促進に寄与
 南投県 男 101歳

ちなみに、2005年春に蔡茂豊氏(台湾日本語教育学会元理事長、元東呉大学外国語学院院長)が旭日中綬章を受章して以来、台湾からの叙勲受章者は79人となります。こちらに「台湾の叙勲者一覧」をご紹介しています。