日本政府は4月29日付で,令和3年春の叙勲受章者を発表しました。受章者は4,136名で、うち外国人叙勲は46ヵ国・地域の117名(うち女性32名)でした。今回、台湾からは下記の3氏が受章されました。心からお祝い申し上げます。

・蔡清彦(さい・せいげん) 旭日中綬章(元台日産業技術合作促進会理事長) 76歳
 科学技術分野における日本・台湾間の協力促進に寄与。

・蔡焜霖(さい・こんりん) 旭日双光章(翻訳家) 90歳
 台湾における日本文化の紹介及び相互理解の促進に寄与。

・楊明風(よう・めいふう) 旭日双光章(元嘉南農田水利会会長) 72歳
 日本・台湾間の友好親善及び相互理解の促進に寄与。

2013年6月19日、緑島政治犯収容所跡を視察に訪れた李登輝総統と話す蔡焜霖氏(左)

蔡焜霖(さい・こんりん)氏は、台湾歌壇代表で2017年7月17日に亡くなられた蔡焜燦先生の実弟です。蔡焜燦先生も旭日双光章(2014年春の叙勲)でしたから、ご兄弟そろって同じ内容の叙勲となりました。

白色テロ時代に政治犯の濡れ衣を着せられ、10年ほど火焼島(緑島)で服役されました。1960年9月に釈放後は淡江大学フランス文学科に学び、児童誌を創刊するなど実業界で活躍。流暢な日本語を駆使して翻訳やガイドとして活躍されてきました。

本会の李登輝学校研修団では何度も講師をつとめていただいていて、緑島にも景美人権博物館にもご同行いただき、歴史の生き証人として解説していただきました。

李登輝学校研修団参加者なら、嘉南農田水利会会長だった楊明風(よう・めいふう)氏(72歳)のお名前を覚えているかもしれません。楊明風氏が嘉南農田水利会会長のときの2017年4月16日に発覚したのが、あのおぞましい八田與一像の首切り事件でした。

本会は翌々日の4月18日から27日まで緊急募金を行い、李登輝学校研修団の折に八田與一墓前祭に参列し、寄せられた義援金を手渡したのが楊明風会長でした。今年5月8日は79回目の墓前祭が行われる予定で、墓前祭を前にまことに喜ばしい叙勲です。

もう一人の叙勲者は、元台日産業技術合作促進会理事長の蔡清彦氏。蔡氏は工業技術研究院(ITRI)董事長をつとめ、亜東関係協会科学技術交流委員会主任委員だった方です。

これで、2005年春に蔡茂豊氏(台湾日本語教育学会元理事長、元東呉大学外国語学院院長)が旭日中綬章を受章して以降、台湾からの叙勲受章者は68名となります。

別途、本会調査による「台湾の叙勲者一覧(2005年春~2021年春)」もご覧ください。