1月6日、トラックやバスの商用車メーカーのいすゞ自動車と台中市が「投資戦略提携協定」を締結したそうです。中央通信社は「今後、エコ商用車の生産拠点が市内に設置」され「早ければ2021年にも操業開始する」と報じています。

いすゞ自動車のホームページによれば「1952年、いすゞは台湾に初めて商品を紹介」し「台湾でのいすゞ自動車総代理店である『台湾五十鈴汽車工業』(『五十鈴』はいすゞの中国語標記。発音=ウースーリン)は、1995年、伊藤忠商事(株)との合弁で台中に設立」したとあり、台湾の拠点は台中市にあるとのことです。

すでに台中市外埔区に工場があるそうですが、「NNA ASIA」の伝えるところによれば、そこが手狭になったことや台中市に市に自動車のサプライヤーが集積していることなどから「新工場は神岡区の豊洲科技工業園区に設け、敷地面積は5万平方メートルとなる見通し。生産能力は年間6,000台。生産車は台湾向けに販売する」ことになったそうです。また「いすゞ自動車が日本以外にエコ商用車の生産拠点を設けるのは初めて」とも報じています。

ちなみに「NNA ASIA」は「聯合報によると、台湾の商用車の販売台数は年間2万3,000台の規模。昨年のブランド別販売台数は1位が三菱ふそうトラック・バス、2位が日野自動車で、いすゞは3位」で「いすゞの昨年の台湾での商用車販売台数は、約3,100台だった」とのことです。

台中市は、高雄市や台南市とともに日本の自治体との姉妹都市などの都市間提携を数多く結んでいることでも知られ、本会の調査によれば高雄市の14件に次いで台中市が13件、台南市が10件と、この3市(37件)で全体の40.6%を占めています。

台中市の場合、現在、交通部長(運輸大臣に相当)をつとめる林佳龍氏が台中市長時代(2014年〜2018年)にリードした積極的な対日政策が奏功しているようです。

このような基盤がある台中市に、「海外市場の開拓において台湾は重要なパートナー」と認識する業界大手のいすゞ自動車が大型投資をして、地元経済の活性化にも一役買いたいというのですから、利潤追求の企業といえど、その大志は見上げたものと言うべきかもしれません。

いすゞ自動車と台中市の「投資戦略提携協定」締結を祝し、下記に中央通信社の記事をご紹介します。

◆いすゞ自動車株式会社


台中市、いすゞと投資戦略提携 エコ商用車生産拠点建設で合意

【中央通信社:2019年1月7日】

台中市政府は6日、日本の商用車大手、いすゞ自動車と投資戦略提携協定を締結した。同市によれば、今後、エコ商用車の生産拠点が市内に設置される。投資総額は100億台湾元(約360億円)に上り、早ければ2021年にも操業開始するという。 

協定には同市政府経済発展局の張峯源局長といすゞの合田和生海外営業第三部長が署名した。市に対する日本側の投資に感謝した張局長。今回の調印実現は昨年10月から積極的に先方にアプローチした結果だと紹介。拠点建設に必要な行政面での援助を惜しまない姿勢を示した。 

合田氏は、海外市場の開拓において台湾は重要なパートナーだと強調。地元の経済を活性化させ、ブランドとしての地位を確立させたいと意気込んだ。 

政府は台湾への投資誘致に向けた優遇策を講じており、昨年12月時点で台中市に投資した企業は台湾全土278社のうち、75社を占める。投資金額は1560億元(約5630億円)と投資総額の約5分の1に相当する。同市のビジネス環境や発展を楽観視する投資家が多いことの現れだと張氏は分析している。