中央通訊社の報道より

超党派の国会議員で構成する「日華議員懇談会」(古屋圭司会長)は5月15日、3月に続いて台湾の世界保健機構(WHO)の年次総会(WHA)へのオブザーバー参加支持を決議し、その日の夕刻、台北駐日経済文化代表処へ赴いて謝長廷代表に決議文を手渡した。

決議文は厚生労働省(写し外務省)宛で、「台湾がいかなる政権であっても、保健衛生分野の豊富な知見・経験を持つ台湾の参加を妨げてはならない」とし、また日本政府に対して、WHO年次総会への「台湾のオブザーバー参加実現に向け、あらゆる機会に自らの立場や態度を明確に表明しつつ、米国・英国・仏国・独国・豪州・カナダ・EUはじめ台湾の参加支持を表明している関係各国・地域と連携し、台湾を招待する権限を有しているテドロス事務局長はじめWHO事務局への働きかけをこれまで以上に強化するよう要請する」としている。

謝長廷代表に決議文を手渡したのは、会長の古屋圭司・衆院議員(自民党)、幹事長の岸信夫・衆院議員(自民党)、顧問の山東昭子・参院議員(自民党)、事務局長の木原稔・衆院議員(自民党)、金子恭之・衆院議員(自民党)、牧義夫・衆院議員(国民民主党)、笠浩史・衆院議員(院内会派「未来日本」)、西銘恒三郎・衆院議員(自民党)、水落敏栄・参院議員(自民党)の9名。副会長の長島昭久・衆院議員(院内会派「未来日本」)も参加予定だったが都合で欠席した。

ちなみに、日華議員懇談会は台湾と断交した翌1973年3月、自民党の灘尾弘吉議員を会長に藤尾正行、中川一郎、玉置和郎、田中龍夫、渡辺美智雄といったタカ派の議員を中心に結成され、その後、山中貞則・衆院議員や平沼赳夫・衆院議員が会長をつとめ、2018年3月に古屋圭司・幹事長が会長に就いている。

2019年5月現在の所属議員は287名で、全国会議員(議員定数は衆議院465人、参議院248人の713人)の約40%を占める大所帯。国交のない台湾との交流の中核として活動している。

下記に中央通信社の記事を紹介するとともに、台湾新聞が代表処を訪れた模様を4枚の写真とともに中文で報じ、決議文の全文も掲載いているのでご紹介したい。

◆台湾新聞:日華懇交付決議文 挺台參加WHA[5月16日]


台湾のWHO総会参加を支持 日本政府に国際連携要請 日華懇が決議採択

【中央通信社:2019年5月16日】

超党派の国会議員連盟「日華議員懇談会」(日華懇)は15日、世界保健機関(WHO)年次総会への台湾のオブザーバー参加実現に向け、国際社会と連携しながらWHO側への働きかけを強化するよう日本政府に要請する決議を採択した。日華懇の古屋圭司会長らが同日、東京・白金台の台北駐日経済文化代表処を訪れ、謝長廷代表(大使に相当)に決議文を手渡した。 

決議文は日本政府に対し、あらゆる機会に自らの立場や態度を明確に表明することや、米国や英国、フランス、欧州連合(EU)など、台湾の参加支持を表明している国・地域と連携し、WHOのテドロス事務局長や事務局への働きかけを強化するよう求めている。 

台湾は2009年から8年連続でWHO総会にオブザーバー参加してきたが、17、18年は中国の圧力で招請状が届かず、出席できなかった。今年のWHO総会は20日に始まる。だが台湾には招請状が届いて
いない。 

日華懇は今年3月にもWHO総会への台湾のオブザーバー参加を求める決議を採択し、台湾への支持を表明してきた。古屋氏は、政治信条などによって差別されてはならないことを明記したWHO憲章に言及し、日本と同じ民主主義国家の台湾が政権次第で差別を受けることは許されないと指摘。日本にとって感染症などの問題は重要で、グローバルな問題だとし、すでに台湾への支持を明確に表明している国々と連携して、WHOに強く働きかけるべきだと述べた。 

日華懇はすでに外務省や厚生労働省に対し、台湾のオブザーバー参加実現に向けてより一層努力するよう求めたという。