6月15日、そのホームページによると「一般送配電事業、不動産賃貸事業及び離島における発電事業」を主な事業内容とする東京電力パワーグリッドと国立成功大学が台湾政府が台南市沙崙地区で計画する「スマートコミュニティ開発のコンセプト検討および実証事業を行うための連携協定」を締結したという。

国立成功大学で行われた調印式には東京電力パワーグリッドの今井伸一・常務取締役と成功大の蘇慧貞・学長が臨み、領事館に相当する日本台湾交流協会高雄事務所の中郡錦蔵所長、呉政忠・行政院政務委員、王永和・国家実験研究院院長、岡本浩・東京電力取締役副社長などが立ち会ったそうだ。

東京電力パワーグリッドのホームページによると、蔡英文政権は「5+2産業発展政策」(アジアシリコンバレー、グリーンエネルギー、バイオ医薬、スマート機械、国防の五大イノベーションと新農業、循環経済の二大要素)を進めているが、その一つであるグリーンエネルギー技術の発展として、台湾高速鉄道台南駅周辺の新規開発エリアである台南市沙崙地区にスマートコミュニティを開発し、同コミュニティをモデルとして成果を展開する計画を進めていたという。

同コミュニティのコンセプト検討を行っていたのが国立成功大学で、同大学から東京電力パワーグリッドに協力依頼があり、両者で協議を行ってきたことが今回の連携協定に帰結したそうだ。

先般6月6日にも台湾日通国際物流と国立台湾海洋大学が「産学連携覚書」を締結したことをお伝えしたが、今度は東京電力パワーグリッドと国立成功大学の産学連携で、これまで築きあげられた「日台の絆」が背景にあればこそではないか。

新たな産学連携のモデルともなる今回の連携協定の締結に至る日本企業の意欲と台湾の大学の意気込みに敬意を表し、また台南市沙崙地区のスマートコミュニティが成功するよう心から願いたい。

東京電力PGも成功大学もその日のうちにこの連携協定について伝え、また中央通信社も伝えているので下記に紹介したい。また、東京電力パワーグリッドは、2018年6月15日から2021年3月までの約3年を実証事業とし、双方が取り組む内容についても伝えているので併せてご紹介いたい。

◆東京電力PG:台湾におけるスマートコミュニティ開発・実証事業への参画について[6月15日]

◆成功大学:成大與東京電力攜手合作 發展前瞻智慧能源科技[6月15日]

◆「台南市サルン地区におけるスマートコミュニティ・実証事業」の概要


台湾の成功大、東電PGと連携協定 スマートコミュニティー開発へ

【中央通信社:2018年6月16日】

連携協定を交わす成功大の蘇慧貞・成功大学学長(左)と東京電力パワーグリッドの今井伸一・常務取締役(成功大学のHPより)

台湾の成功大学(台南市)と日本の東京電力パワーグリッド株式会社(東電PG、東京都)が15日、連携協定を締結した。今後、同市内の沙崙地区で計画するスマートコミュニティー開発のコンセプト検討や実証事業などで力を合わせ、再生可能エネルギーなど各種エネルギーリソースを統合、制御するシステムの開発やエネルギーデータの活用による住民向けサービスの実証事業などを行う。 

スマートコミュニティーは、地域社会がエネルギーを消費するだけでなく、作り、蓄え、賢く使うことを前提に統合的に管理する社会。沙崙地区のコミュニティーは、2025年の脱原発目標を掲げる台湾がグリーンエコノミーの発展を促進するモデル地区として計画された。 

同大によると、計画では、未来的な生活の場や職場を有する2〜3万人規模の都市を想定し、新しいライフスタイルの創出を目指す。これにより新たな経済モデルが生まれると予想され、地方の経済再生にもつながると期待される。今後海外への展開も見込み、台湾の関連企業にも計画への参加を呼び掛けるという。