覚書を締結する台湾と富山の薬業団体(中央通訊社の報道より)

5月31日、一般社団法人富山県薬業連合会と台湾の財団法人医薬工業技術発展センターが双方の企業のパートナー探しの支援や後発医薬品(ジェネリック)の開発研究、製造技術の向上などをめざし「産業協力覚書」を締結した。

調印式は台北市内で行われ、経済部工業局の呂正華局長と石井隆一(いしい・かずたか)富山県知事の立ち合いの下、中井敏郎・富山県薬業連合会会長と蘇慕寰・医薬工業技術発展センター董事長が署名した。

富山県は「富山のくすり売り」でよく知られるように、売薬業は300年以上の歴史と伝統を誇るという。富山県は薬事研究所や薬業研修センター、くすり政策課などを設置し、現在、医薬品生産額は日本一というお国柄だ。

富山県薬業連合会は1952年(昭和27年)6月に富山県薬業界と富山県家庭薬協同組合連合会が合同し、社団法人として富山県知事の認可を受け設立された富山県薬業界の中枢団体。販路の拡大、経営改善など拡販の事業を積極的に実施しているという。

一方の医薬工業技術発展センターは、1993年に官民の出資で創立された経済部認可団体で、ジェネリック医薬品やバイオシミラー製品の受託製造、医薬品の共同研究開発や販売提携などを手掛け、台湾の医薬産業の水準を高め、技術に根を下ろした産業革新と国際化に尽力しているという。

本会メールマガジン『日台共栄』誌上や本会HPでもお伝えしたように、同日に富山県の観光連盟「とやま観光推進機構」と台湾観光協会が台北市内において「友好提携に関する協定」を締結している。

来年の日台観光サミットが富山県で開催されることを受け、富山県が観光面から「とやま観光推進機構」と台湾観光協会の「友好提携に関する協定」、またもっとも力を入れている分野である医薬品面から法人富山県薬業連合会と医薬工業技術発展センターによる「産業協力覚書」の締結に向けて力を注いだようだ。いずれにしても、おめでたいことだ。心から祝意を表しつつ、下記に中央通信社の記事をご紹介したい。

なお、富山県といえば「チューリップ」もあり、チューリップを特産とする富山県砺波(となみ)市の台湾との交流もある。

砺波市は2014年から台湾から観光に来てもらおうと「ようこそ となみキャンペーン」に取り組んでいて、2016年には嘉義市に球根を輸出、現地の小学校に水栽培セットを贈るなどチューリップで交流していて、今年4月には砺波市と台湾の友好の新しいチューリップを作ろうと、夏野修(なつの・おさむ)市長と台北駐大阪経済文化弁事処の代表がチューリップ四季彩館で受粉式を行っている。

◆一般社団法人富山県薬業連合会

◆財団法人医薬工業技術発展センター


台湾と富山の薬業団体が覚書 海外市場開拓に向けて協力

【中央通信社:2018年6月4日】

台湾の医薬品産業の発展を支援する医薬工業技術発展センターが5月31日、富山県薬業界の中枢団体、富山県薬業連合会と覚書(MOU)を締結した。双方の企業のパートナー探しを支援するほか、後発医薬品(ジェネリック)の開発研究や製造技術を共同で向上させることなどがねらい。 

調印式は台北市内で行われ、経済部(経済省)工業局の呂正華局長と石井隆一富山県知事の立ち会いの下、同センターの蘇慕寰董事長(会長)と中井敏郎・県薬業連合会会長が署名した。 

日本政府が掲げる後発医薬品の使用割合を2020年9月までに80%に引き上げる目標に合わせ、同センターは台湾国内産業の発展を支援している。工業局が設置する台日産業連携推進オフィスの協力で、2015年と2017年の2度にわたって日本を訪問し、富山県と合同で商談会を開催するなどしていた。これまで築いてきた交流を基礎に、覚書締結によって長期的な交流の枠組みを作り、実質的な連携の機会を生み出すことで、共同での海外市場開拓を目指すとしている。