会見終了後、メディアに囲まれる李総統(台湾メディアの報道より)

2・28事件の犠牲者を追悼する「228和平記念日」の昨日(2月28日)、「台湾独立建国連盟」米国本部の元主席、郭倍宏氏は台北市内で記者会見を開き「台湾独立の賛否を問う公民投票の実施や『台湾』名義での国連加盟を目標とする新たな政治団体『喜楽島連盟』を4月7日に発足させると発表した」(中央通信社)。

この記者会見には、李登輝総統や呂秀蓮・元副総統、黄国昌・時代力量主席も出席し、賛同者には陳水扁・元総統や彭明敏・元総統府資政も名を連ねているという。

共同通信は、記者会見において李総統は「『台湾の最大の脅威は(台湾は自国の一部だと主張している)中国だ。台湾と中国とは特殊な状況にあるが、疑いなく国家と国家の関係だ』と語った。台湾は正式名称を「中華民国」としているが、李氏は住民投票にかけた上で名称を台湾に変更、台湾名で国連に加盟を申請しようと訴えた。台湾を正常な国家にするために「いま必要なことは台湾の新憲法を制定することだ」『台湾を偉大な国家にしよう』とも語った」と伝えている。

台湾正名運動の最終目的は「中華民国」という国名を「台湾」に正名することにあり、台湾の国家正常化のためには避けられない最難関の課題だが、李元総統は台湾の最大の脅威が中国と喝破し、いまの台湾が乗り越えるべき課題を改めて明示し、「李登輝、ここにあり」を強く印象付けた感がある。

下記に、記者会見の詳細を紹介している台湾国際放送の記事を紹介したい。


独立派の喜楽島聯盟、李登輝・元総統が支持

【台湾国際放送:2018年2月28日】

台湾独立派の新しい政治団体、喜楽島聯盟が結成を宣言し、独立を目指した住民投票を推進することになった。この新しい政治団体は、李登輝・元総統が支持している。

喜楽島聯盟は28日、記者会見を開催し、4月7日に創立大会を開催し、来年4月6日に独立を目指した住民投票を実施することを目指すと発表した。

喜楽島聯盟の結成を中心になって進めている台湾独立建国聯盟アメリカ本部元主席の郭倍宏氏は、「先月、喜楽島聯盟を結成するという構想を示したところ、大きな反響があり、150人が発起人となってくれた。その中には、李登輝・元総統、陳水扁・元総統が含まれており、彭明敏・元総統府資政、呂秀蓮・元副総統も名を連ねている。さらに、台湾全土の若い人たちも参加し、支持している。中国大陸が国際社会で台湾に対する圧力とボイコットをますます強める中で、いかにして台湾を一つの正常な国家にし、台湾を国際社会に復帰させるか。そのため、独立住民投票、台湾の名称による国連加盟を求めていく」と語った。

郭倍宏氏は、「喜楽島聯盟の目的は独立住民投票、台湾の名称による国連加盟だ。来年4月6日に独立住民投票を実施し、台湾国を建国しなければならず、台湾の名称で国連に入らなければならないという、私たちの願いを全世界に伝える」と表明した。

また、李登輝・元総統は、「自分が総統に在任中、『台湾にある中華民国』を唱え、実務的な方法で民主化、台湾化を推進し、台湾人の国家意識を取り戻し、台湾名称の使用、憲法の制定を目指した。ひまわり学生運動と、2014年の統一地方選挙、2016年の総統・立法院選挙での国民党の敗北を受けて、今すでに行動を起こす時に来ている。今日は特別に記者会見に参加し、独立住民投票への支持を表明しに来た」と語った。

李登輝・元総統は、「住民投票は最も強い力を持った武器だ。全住民による投票で、台湾名称の使用、憲法制定の目標を推進し、台湾を正常な国家にし、台湾という名前で、国際組織への参加を申請し、世界へ向かって進もう」と語った。

また、「台湾にとって最大の脅威は、中国大陸からくるものだ。中国大陸の共産党は長期にわたって台湾は中国の一部分だと主張している。しかし、1949年に中華人民共和国が成立してからこれまで、彼らは台湾・澎湖・金門・馬祖を統治したことがない。しかも、台湾で1991年に憲法を改正した後、台湾の主権の正当性は、台湾の2300万人の直接投票で与えられたものであり、中国大陸の人民とは関係がないことがはっきりした」と指摘した。

この記者会見には、李登輝・元総統のほか、呂秀蓮・元副総統、時代力量の黄国昌・主席、台湾団結聯盟の劉一徳・主席、社民党の范雲・招集人なども出席した。

陳水扁・元総統、彭明敏氏は参加しませんでしたが、ビデオで挨拶した。