年も押し詰まった12月28日、福岡県の筑豊地区を走る平成筑豊(へいせいちくほう)鉄道が台湾の平渓線と来年5月をめどに姉妹鉄道を締結するという嬉しいニュースが飛び込んできた。

その理由について、同社ホームページでは「沿線人口の減少に伴い、鉄道利用者が減少している状況を打開するため、国内外から観光客を誘致し、鉄道の活性化と地域振興につなげる取組の一環として、平成筑豊鉄道同じ石炭運搬歴史を有する台湾鉄路平渓線と姉妹鉄道の協定を締結することを決定(H29.12.27取締役会)しました」としている。

平成筑豊鉄道は伊田線(直方〜田川伊田 16.1km)、糸田線(金田〜田川後藤寺 6.8km)、田川線(行橋〜田川伊田 26.3km)、門司港レトロ観光線(九州鉄道記念館〜関門海峡めかり 2.1km)の4路線を運営している。

心から祝意を表し、下記に平成筑豊鉄道のプレスリリース「台湾鉄路平渓線との姉妹道協定締結について」と毎日新聞の記事をご紹介したい。

なお、本会の調査によれば、日台間の鉄道提携は1986年1月の大井川鐵道と阿里山森林鉄道の姉妹鉄道を嚆矢として、本年11月のえちごトキめき鉄道の関山駅と台湾鉄路管理局の関山駅の姉妹駅協定締結まで29件にのぼり、下記に示すように29件中28件が2013年以降に結ばれていて、都市間提携とともに日台交流のシンボルとなっている。

1)1986年01月25日 大井川鐵道と阿里山森林鉄道が姉妹鉄道を締結。
2)2013年04月20日 黒部峡谷鉄道と阿里山森林鉄道が姉妹鉄道を締結。
3)2013年04月23日 江ノ電と平渓線が観光連携協定を締結。
4)2013年10月13日 JR四国の松山駅と台湾鉄道の松山駅が姉妹駅を締結。
5)2014年04月30日 秋田の鳥海山ろく線と平渓線が姉妹鉄道協定を締結。
6)2014年10月28日 千葉のいすみ線と集集線が姉妹鉄道協定を締結。
7)2014年12月22日 山陽電鉄と宜蘭線が姉妹鉄道協定を締結。
8)2014年12月22日 山陽電鉄の亀山駅と宜蘭線の亀山駅が姉妹駅を締結。
9)2015年02月12日 東京駅と新竹駅が姉妹駅を締結。
10)2015年02月26日 京浜急行電鉄と台湾鉄路管理局が友好鉄道協定を締結。
11)2015年03月14日 西武ホールディングスと台湾鉄路管理局が友好協定を締結。
12)2015年03月14日 西武鉄道と台湾鉄路管理局が姉妹鉄道協定を締結。
13)2015年09月04日 長良川鉄道と内湾線が姉妹鉄道協定を締結。
14)2015年12月04日 大阪駅と台北駅が姉妹駅を締結。
15)2015年12月18日 東武鉄道と台湾鉄路管理局が友好鉄道協定を締結。
16)2015年12月21日 山陽電鉄と台湾鉄路管理局が観光連携協定を締結。
17)2016年01月21日 鉄道総合技術研究所と台湾鉄路管理局が技術協力協定を締結。
18)2016年02月25日 JR四国と台湾鉄路管理局が友好鉄道協定を締結。
19)2016年03月15日 江ノ島電鉄と台湾鉄路管理局が友好鉄道協定を締結。
20)2016年06月01日 いわて銀河鉄道と台中線(山線)が姉妹鉄道協定を締結。
21)2016年06月01日 三陸鉄道と海岸線(海線)が姉妹鉄道協定を締結。
22)2016年07月04日 江ノ電と高雄メトロが観光連携協定を締結。
23)2016年08月27日 天竜浜名湖鉄道と集集線が姉妹鉄道協定を締結。
24)2016年10月22日 帯広市の幸福駅と新竹県の合興駅が姉妹駅協定を締結。
25)2017年04月01日 銚子電鉄と蘇澳線が姉妹鉄道を締結。
26)2017年04月24日 南海電鉄と桃園メトロが友好協定を締結。
27)2017年06月08日 京福電鉄と高雄メトロが観光連携協定を締結。
28)2017年07月06日 近鉄グループホールディングスと台湾鉄路管理局が友好協定を締結
29)2017年11月10日 えちごトキめき鉄道の関山駅と台湾鉄路管理局の関山駅が姉妹駅協定を締結

◆台湾鉄路平渓線との姉妹道協定締結について〜九州初〜[12月28日]


平筑鉄道:台湾平渓線と姉妹協定 石炭運搬の歴史的共通点

【毎日新聞・筑豊版:2017年12月29日】

平成筑豊鉄道(福智町)は28日、台湾の台湾鉄路管理局平渓線と姉妹鉄道の協定を締結したと発表した。台湾からの観光客誘致で、利用者減が続く状況の打開を狙う。平渓線とは江ノ島電鉄(神奈川県)、由利高原鉄道(秋田県)も同様の協定を結んでいる。【斎藤毅】 

◆沿線に観光客誘致目指す 

台湾鉄路管理局は台湾全土で鉄道を運営している。平渓線は台湾・新北市を走るローカル線で、三貂嶺駅〜菁桐駅の12・9キロに7駅ある。1921年、台湾屈指の炭田といわれた菁桐坑の開発のために敷設された専用鉄道が前身。 

同線の十分駅近くに田川市石炭・歴史博物館と友好関係にある新平渓煤礦博物園がある縁や、石炭運搬の歴史的共通点から姉妹鉄道の締結が実現した。

平筑、田川市と台湾鉄路管理局が7月から協議を重ね、27日にあった平筑の取締役会で決定した。来年5月をめどに締結式をする予定。具体的な交流内容は他の鉄道の事例を参考に今後協議する。 

河合賢一社長は「福岡まで来ている台湾の観光客を田川周辺の沿線まで呼び込みたい」と話している。取締役会副会長の二場公人・田川市長は「かつては石炭の鉄道だったが、うまく観光鉄道に生まれ変わっている。ヒントは得られると思う」と語った。