わずか5万元の保釈金が用意できず、手錠をかけられて収監される犯人の李承龍(蘋果日報の報道より)

八田與一銅像頭部切断事件の犯人二人が、昨夜またも台北市北投の小学校に置かれていた日本統治時代の狛犬を損壊した事件はテレビのニュースなどでも大きく扱われた。

台湾メディアの報道などによると、被害を受けた逸仙国小(小学校)は、李承龍(元台北市議会議員)とその内縁の妻とされる邱晉芛の二人を告訴。警察は二人の身柄を台北市の士林地検に送致した。検察官は取り調べ後、二人にそれぞれ保釈金5万元(約18万円)による保釈を認めた。しかし、二人とも保釈金が支払えず、検察は裁判所に二人の収監を申請、士林地方法院(地裁)は今夜、二人の勾留を認めた。

報道によると、裁判所は容疑者の李承龍らが、保釈金を支払えないうえ、先月にも台南市の烏山頭ダムのほとりに置かれた八田與一銅像損壊事件を起こして送検されており、法を無視した再犯の恐れが高く、逃亡の恐れもあることから勾留を認めたという。

狛犬は足の部分が大きく損壊された(三立新聞の報道より)

学校側は狛犬の修理につき、3年前に片方の狛犬の補修を施した際、耳と尾の補修だけで6万元の費用を要しており、今回は一対の修理となるうえ、耳や尾の破壊だけでなく足部分もひどく破損されるなど状況もひどいことから、少なくとも10万元以上の修理費用がかかるだろうと話している。

この事件に対しては、柯文哲・台北市長もメディアの質問に「関連する部局に対し、厳格な対処をするよう特に指示した」と憤慨するとともに、「わざわざ対立の火種を作ることは非常に許せない。台湾を取り巻く状況は国内外ともに逼迫しており、団結しようなどというのはもはや手遅れだ」などと話した。

台湾政府高官は「触らぬ神に祟りなし」を決め込んだのか、蔡英文総統以下、この事件についてのコメントを避けた。