台東県のHPより

長野県下伊那(しもいな)郡にある阿智村(あちむら)は、長野県の南端、岐阜県に接する山あいの静かな村で、 人口約6500人。村には南信州最大の温泉郷となる昼神(ひるがみ)温泉郷があり、星がもっとも輝いて見える場所として「日本一の星空ナイトツアー」を実施し、年間6万人が訪れる。2027年に開通予定のリニア・モーターカー(中央新幹線)は飯田市が長野県駅となる予定で、飯田市から車で10分ほどの阿智村はいっそう観光村化に拍車がかかっているともいう。

阿智村は歴史のある村で、平安時代初期に最澄(伝教大師)が旅人の休みどころとして建てたと伝わる広拯院(こうじょういん)の跡地や、『源氏物語』の第2巻のタイトルにもなっている「帚木(ははきぎ)」の実物もある。

その一方で、満蒙開拓移民を国内で最も多く送り出した地域柄を反映して満蒙開拓平和記念館も建てられていて、昨年11月には天皇、皇后両陛下が昼神温泉に宿泊して満蒙開拓平和記念館を訪れ、阿智村役場にも立ち寄られている。

歴史にいろどられた風光明媚な阿智村は、台湾とも縁が深い。これまでも何度か台湾の旅行会社や報道関係者らが観光視察に訪れている。

去る5月15日には、台東県の黄健庭・県長や潘貴蘭・観光協会長らが訪れ、阿智村の南信州菓子工房、湯元ホテル阿智川、阿智☆昼神観光局とそれぞれ提携協定を締結した。地元紙の「南信州新聞」が伝えているので下記に紹介したい。

16日には、黄健庭・県長ら一行は長野県庁に阿部守一(あべ・しゅいち)知事を訪ね「スポーツや観光の面で交流を進めていきたい」と話したという。

長野県は2012年11月、阿部知事が高雄市を訪れ陳菊市長と「教育・観光交流覚書」を締結し、修学旅行(教育旅行)を通した青少年交流などをはかっている。

長野県ではその他にも、松川村(北安曇郡)が2013年6月に彰化県鹿港鎮と友好都市提携を結び、本会HPや本会メールマガジン『日台共栄』誌上ですでにお伝えしたように松本市が2015年7月に高雄市と「健康・福祉・教育分野の交流に関する覚書」を締結している。

ちなみに、去年、長野県に宿泊した外国人数は台湾からが31万4,800人と1位で、5月11日には信州まつもと空港と台湾・桃園空港を結ぶチャーター便(チャイナエアライン)が約4年ぶりに運航し、5月15日にも運行している。

◆臺東縣長黃健庭初訪長野縣 見證臺東縣與長野縣3份友好協定書台東農產加工品有望打進日本市場【縣政新聞:2017年5月15日】

◆臺東縣長黄健庭16日首訪長野縣廳 敲開台東縣與長野縣運動觀光及農業等合作大門【県政新聞:2017年5月16日】


台湾と阿智3社が提携協定締結

【南信州新聞:2017年5月15日】

台湾台東県の黄健庭県知事や潘貴蘭観光協会長らが15日、阿智村を訪れ、同村の南信州菓子工房(木下裕亮社長)、湯元ホテル阿智川(山口清幸社長)、阿智☆昼神観光局(白澤裕次社長)とそれぞれ提携協定を締結した。農産物加工や温泉観光など幅広い分野で連携を図り、国際競争力を高めていく。

南信州菓子工房のドライフルーツを台湾国内に販売する商社の陳文祈氏が「台湾の豊富な果物を高い加工技術でおいしい菓子にしてほしい」と持ちかけたことから始まった。

台東県は、工場が少なく主要産業は農業と観光業。パイナップルやマンゴーなど果物の宝庫だが、加工品利用がなく規格外品は全て廃棄されていた。

将来的に南信州菓子工房が台東県へ進出し、半生菓子の伝統技術で台湾ドライフルーツを現地加工することを目指す。すでに共同研究やマーケティング調査が始まっている。

今回は、4月に竣工した南信州菓子工房新工場の見学を兼ねた視察。台東県と阿智村は豊かな自然と温泉を売りにする観光地という共通点があり、相互に連携してノウハウを共有し国際競争力を高めようと、観光や温泉の分野でも提携を結ぶことになった。

南信州菓子工房との協定では、将来的に台湾に進出する際の用地確保や原料調達、海外販売について台東県が全面的に協力することを約束した。

台東県観光協会と阿智☆昼神観光局の協定では、双方の観光地の発展のために情報発信、交流連携を図る。潘観光協会長が社長を務める鹿鳴温泉と湯元ホテル阿智川の協定でも同様に双方の温泉観光発展について提携する。3つの提携とも黄県知事、熊谷秀樹村長が立会人としてサインした。

熊谷村長は「一つの企業がきっかけになり、大きな提携につながった。台東県の戦略と阿智村の戦略を組み合わせ、良い関係が構築できることを期待する」と話した。

黄県知事は「南信州菓子工房と提携して台東のフルーツを世界に届けたい。阿智の星空のように台東でも熱気球をはじめ、温泉、きれいな空気などの観光資源がある。温泉観光を含めた産業の提携を結べることをうれしく思う」と語った。

一行は翌16日に阿部守一県知事を訪問するほか、県内の食品関連工場などを視察。17日に岐阜県多治見市の陶工房を訪ねて台湾へ帰る。