取り調べを終え、警察車両で台南の新幹線駅へ送られる李承龍容疑者(後部座席左側、台湾の報道より)

八田銅像の頭部切断事件の容疑者が出頭した日から一夜明け、容疑者の供述内容が台湾メディアで報道されている。また、犯行に使われたノコギリも容疑者の友人宅から押収された。

台南市警察はノコギリの刃に付着した成分と八田銅像を照合するなど、証拠を固め次第、李承龍と邱晉芛の容疑者二人を逮捕する方針。

昨日、両容疑者は台北市内の警察署に出頭、午後に台南市警察に移送され3時間にわたる取り調べを受けた。午後8時過ぎに両容疑者は一時釈放され、新幹線で台北に戻されたが、みだりに居住場所を変更出来ないなどの制限を受けている。

供述のなかで両容疑者は、手動のノコギリを使って八田銅像の首を切断したことを認めているが、頭部については「持ち去っていない」と述べているという。

嘉南水利会や烏山頭ダム風景区管理所はこの供述内容を受けて本日午前に20人を動員して八田技師の墓所やその周辺を3時間にわたり捜索したが発見には至らず、午後もまた引き続き捜索を続ける。

犯行の経緯について両容疑者は、14日夜に烏山頭水庫飯店にチェックイン。16日午前2時半ごろ八田銅像のところへ行き、邱晉芛容疑者が明かりをつけながら、李容疑者が頭部切断に及んだ。頭部切断には2時間かかり、午前5時近くになって付近で運動する人も出てきたため、事が露見するのを恐れた両容疑者は午前6時に急遽チェックアウトして車で北部へ向かったという。また、その途中に邱容疑者がノコギリを台東に住む友人宅へ宅急便で送ったが、このノコギリは昨夜警察に押収されている。

警察の調べによると、15日午後に八田銅像を訪れた観光客や水利会職員の証言から、この時にはまだ八田銅像の頭部は切断されておらず、両容疑者との証言とも符合するが、両容疑者ともに「頭部は持ち去っていない。写真を撮ったあとに首の上に置いてきた」との供述を続けており、警察は今後、頭部の発見に全力を挙げる。