シンポジウム開幕に際し、放映されたドキュメンタリーを鑑賞する李登輝総統と蔡英文総統(李登輝基金会提供)

財団法人李登輝基金会は本日、台湾で総統直接選挙が実施されて20年となることを記念し、台北市内の交通部国際会議センターにおいて「人民直選総統と台湾民主発展20周年」と題するシンポジウムを開催した。

シンポジウムの開会に際し、李総統は挨拶で「『台湾は憲政、財政、経済など各方面でボトルネックに直面している』とした上で、『今後4年か8年が肝心な時期だ』と蔡政権への期待を表明した」という。

また、来賓の蔡英文総統は「『李登輝時代という言葉は台湾の民主化の歴史において特別な意味がある』と応じ、『問題は一つ一つ解決していける』と述べた」と伝えられる。中央通信社の記事を下記に紹介したい。

なお、李登輝基金会の前身は群策会で、2001年12月に設立し、2002年5月に内政部所管の財団法人として認可。2012年12月に李登輝基金会に改称している。李登輝総統が董事長をつとめ、副董事長は経済学者で元総統府国策顧問の劉泰英氏と、この6月に蔡英文政権の国家年金改革委員会委員に任命された李登輝総統次女の李安妮氏、秘書長は王燕軍氏がつとめている。王氏は李登輝前総統弁公室主任を兼任している。

◆財団法人 李登輝基金会HP


蔡総統、シンポジウムで李登輝氏と同席 「台湾の民主主義」振り返る

【中央通信社:2016年8月27日】

蔡英文総統は27日、李登輝元総統が設立したシンクタンクが台北市内で開いたシンポジウムに、李氏とともに出席した。2人が公の場で揃って姿を見せるのは、5月20日に行われた総統就任式後の祝賀夕食会以来約3カ月ぶり。

シンポジウムは、1996年に台湾初の直接選挙による総統選が実施されてから、今年で20周年を迎えたことに合わせて開催されたもの。蔡総統は、20年前の総統直接選挙は台湾の民主政治の発展における重要な一里塚だと指摘。これは歴史の偶然ではなく、当時多くの社会、政治勢力が共に努力した成果だとした。

蔡総統は、それから20年後の現在、我々には当時とは異なる任務があると強調。新政府は「民主主義の深化」というバトンを受け取り、進み続けていくと述べ、20年後に「我々も重要なマイルストーンを立てた」と振り返られるようにしたいと抱負を語った。

また、李氏が1996年の総統選で当選を果たし、中華民国(台湾)史上初の民選総統となったことに触れ、「李登輝時代」は台湾の民主化の歴史の中で特別な意義を持つと称賛した。

同年の選挙は、当時段階的に台湾の民主化を進めていた李政権が、1994年に憲法の改正を行ったことで実現している。