台湾の…

【2016年8月2日:八重山日報】

台湾の李登輝元総統を迎える石垣島の関係者は、冗談半分に言い合っていた。「李氏が来島したら、中国が反発して領海侵犯するのでは」。まさに李氏が石垣島に降り立った日、中国公船3隻が尖閣周辺で領海侵犯した。偶然とは考えにくい◆

気に食わない相手には実力行使で嫌がらせをする。中国の指導者は子どものように単純で、分かりやすい。大人の話ができる相手なのか疑問だ◆

尖閣周辺を「パトロール」と称して航行する中国公船の活動は息が長い。中国は「超大国」への道を突き進んでおり、東シナ海方面への野心は肥大化する一方だ。ある識者は尖閣問題について「21世紀を通じ、ずっと存在し続ける」と予測する。事なかれ主義で黙っていれば平和が維持される時代は過ぎたと見るべきだろう。八重山の将来を考えるとき、自衛隊配備は必須になる◆

世界は数年前には予想もしなかった方向へ進んでいる。安全だと思われていた欧州で相次ぐテロ、在日米軍の撤退を匂わせるトランプ氏の米大統領候補指名獲得、英国のEU離脱。極言すれば誰が敵で誰が味方なのか分からない時代になりつつある◆

臨機応変さが求められる時代に「ぶれない」ことは必ずしも美徳ではない。配備反対派も、虚心坦懐に八重山の将来を見据えてほしい。