ガンビアのヤヒヤ・ジャメ大統領はこれまで何度も来台している(蘋果日報の報道より)

2013年11月15日、西アフリカのガンビアは台湾と断交したことを一方的に発表した。その時点で台湾が国交を有するのは22カ国となったが、ガンビアはすぐに中国と国交を樹立することはしなかった。

それから2年以上が経過した昨日(3月17日)、中国はガンビアと国交を樹立したことを発表した。中国の王毅・外交部長(外相)とガンビアのガイ外相が北京で調印。さらに調印後の記者会見で、ゲイ外相は「ガンビアは中国と台湾の平和統一を支持する」と述べたという。

ただ、ガンビアにはこれまで台湾と断交や国交回復を繰り返していた「過去」がある。1965年、英国から独立したガンビアは68年に台湾と国交樹立しながら74年に断交、95年には再び国交を回復した。ただ、この間、71年に国連で中国の代表権をめぐって行われた「アルバニア決議案」において、ガンビアは中華民国(台湾)が国連に残ることを支持した。

2013年に再び台湾と断交したものの、すぐに中国と国交を樹立することはしなかった。台湾のメディアは、これまで2年以上中国と国交を樹立せずにいたガンビアが、蔡英文政権発足を控えたこの時期に国交樹立した背景には、中国による圧力があるのではないかと報じている。

中国や台湾はこれまでも、国交の維持や樹立を目的としてアフリカや環太平洋の小国に対し、多額の資金援助を餌として外交戦を繰り広げてきたが、それを逆手に取って中国と台湾との間を浮遊する「日和見外交」するガンビアのような国が存在するのも事実だ。

国民党の馬英九政権が進めた「外交休兵」政策により、中国との関係改善を進めるため、外交面では競い合わない方針を掲げてきた。しかし、その結果として総統選挙投票日前夜に起きた周子瑜事件のように、中国に唯々諾々と従うだけの外交姿勢を取るだけに終止していたことは否定できないだろう。

民進党政権発足に伴い、中国が激しい外交攻勢を仕掛けてくるのは明白だが、日本や米国など国交を持たない国々が台湾と良好な関係を維持することが、台湾の国際社会における地位に貢献することを期待したい。