20160217-02

勝訴判決後、会見に臨む青山恵昭氏(中央)

台湾国内の報道によれば、228事件で受難した日本人に対する賠償につき、台湾高等行政裁判所が600万元(約2,400万円)の賠償を命じるとともに、初めての外国人受難者として認める判決を下した。

1947年に発生した228事件の真相解明はここ十数年になってやっと進んだとはいえ、事件発生から70年あまり。外国人に対する賠償と受難者としての認定が認められた初のケースとなった。

今回、賠償が認められた受難者は日本人で沖縄県出身の青山恵先氏。息子で湾生の青山恵昭氏によれば、228事件発生後、台湾に滞在中だった父の恵先氏と音信不通になり、恵先氏は後に沖縄県の裁判所で死亡が宣告された。

事件の解明が進み、二二八事件記念基金会が恵先氏を事件の受難者として認定したため、息子の恵昭氏は3年前に台湾政府に対し賠償を求めたものの、内政部は、日本政府が台湾人慰安婦に同等の賠償をしていないことを理由に「平等互恵の原則」によって、賠償の執行機関である二二八事件記念基金会に対して賠償を拒絶するよう指示していた。

そのため、恵昭氏は二二八事件記念基金会を被告として行政訴訟を提起。本日午前、台北高等行政裁判所は恵昭氏の訴えを認め、基金会に賠償金の支払いを命じた。同時に、恵先氏が事件による外国人受難者であると改めて認定した。

判決後、基金会の執行長はメディアに対し、正式な判決書をまだ受け取っていないため、上告するか否かも含めて今後検討していくと話した。

228事件による日本人受難者は青山恵先氏以外にも3人いるとみられており、研究が進められているものの真相究明には至っていない。

【台湾国内での報道を本会台北事務所でまとめたものです】

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228jiken228事件の真相については、著名な歴史学者で国立台北教育大学教授の李筱峰氏が1998年1月に玉山社出版から上梓した『解読二二八』に詳しい。

本来は台湾で出版された中国語版のみだったが、228事件の被害者にして、二二八紀念館の日本語解説員をつとめる蕭錦文(しょう・きんぶん)氏が、この事件の真相をぜひ日本人に伝えたいと思い3年をかけ日本語訳している(日本語題は『二二八事件の真相』)。蕭錦文氏自身も「この本には、私の見聞と体験した事件の真相が書かれている」と話している。

台湾の228事件とはどういう事件だったのか、誰が事件の首謀者だったのか、日本人も犠牲となった事件の真相を明かす、日本人も台湾人も必読の歴史書。

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